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先輩に聞く!保健師って、どんな仕事?(協会けんぽ勤務の保健師Kさん)

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先輩に聞く!保健師って、どんな仕事?(協会けんぽ勤務の保健師Kさん)
保健師関連記事
2023.05.24

協会けんぽ勤務の保健師Kさん
中小企業の健康経営と加入者の健康保持・増進を支援

 

Kさんの顔イラスト

  • 現在の勤務先:協会けんぽの保健師 (3年従事)
  • 趣味:旅行

■協会けんぽとは?

協会けんぽ(全国健康保険協会)と聞いてもどんな組織かピンとこない方も多いかもしれませんが、中小企業が主に加入している健康保険の医療保険者です。

健康保険には、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度の3つがありますが、協会けんぽはそのうちの被用者保険に含まれます(詳しくは『RB』を見てね!)。
協会けんぽは、被用者やそのご家族が病気やけがをした際に医療費を負担したり、給付金を支給したりする「保険給付」や、健康の保持・増進を図る「保健事業」などを行っています。

協会けんぽには約4,000万人(国民の約1/3)の働く人々とその家族が加入していて、医療保険者(全国健康保険協会や健康保険組合等)のなかでは日本で一番大きな組織です。本部のほかに47都道府県に支部があり、支部保健師(正規保健師)は約80名、保健指導を主に実施する保健指導者(契約保健師、契約管理栄養士)は数百名が働いています。

■協会けんぽの保健師の仕事内容

支部保健師や保健指導者が所属する保健グループは保健事業を推進しています。保健事業の推進にあたっては、健康診断の結果やレセプト(診療(調剤)報酬明細書)のデータを合わせて分析し、その結果に基づいて取組むことが重要です。

協会けんぽにおいても、保健事業実施計画(データヘルス 計画)を策定して、PDCA サイクルを意識した取組みを行っています。保健事業実施計画は、地域ごとの健康課題のほか、行政機関や関係団体との健康づくりに関する連携等、各々の地域の実情を踏まえて策定する必要があるため、支部ごとに地域の健康特性を把握し、独自性を発揮して策定しています。

保健グループは、保健事業の柱である「特定健診・特定保健指導の推進」「重症化予防の対策」「コラボヘルスの取り組み(健康宣言事業所等のサポート)」を実施しており、それに加えて支部保健師は、保健指導者の育成やマネジメントを行っています。

主な仕事は以下のようなことです。

●特定保健指導・その他保健指導・重症化予防の実施
●健康宣言事業所等のサポート
●健康教育
●保健指導者(契約保健師等)の育成やマネジメント
●保健事業の企画・運営・評価
●健康診断の結果やレセプトのデータの分析による健康課題の把握
●データヘルス計画の作成

保健事業の柱の一つである特定保健指導は、協会けんぽの保健指導者が事業所に伺って行う方法(直営)と健診機関や保健指導専門機関に委託をして行う方法があります。直営の場合は、事業主に保健指導の重要性について理解していただき、日程や指導場所、指導方法の調整、保健指導者との調整など事前の準備が重要です。また委託による特定保健指導についても、保健指導の質の管理や進捗管理が欠かせません。

また、自支部の健康課題を明らかにするために、健康診断の結果とレセプトのデータを合わせて分析します。その上で、たとえば糖尿病によって新規に人工透析に至る人を減らそうという上位目標を設定したら、どうすれば人工透析に至らせないのか、つまりどのような予防活動を行えば糖尿病の重症化を防ぐことができるかを考え、保健事業の計画を立てます

支援方法としては、糖尿病患者さんへの保健指導等、そもそも糖尿病にならないための予防活動の一つとして特定保健指導の実施などが挙げられます。
また、重症化する要因として、忙しくて病院に行けないなど、働き方の課題もあるため、健康で働きやすい職場になるように健康経営に取り組んでいただいたり、広く生活習慣病予防について知っていただくために健康教育等のポピュレーションアプローチを行うこともあります。

Kさんんの仕事風景

 

保健事業は保健師のみで完結するわけではなく、支部内の事務職と共に進めていきます。また、外部委託機関、行政機関、医師会(医療機関)、産業保健総合支援センターなどの関係機関と連携して業務を行う場合もあります。動きとしては行政保健師にも近いですが、加入者は働いている人のため事業所単位での健康施策も考えることから産業保健師の要素もあります。

■やりがいはどんなところに感じていますか?

健診結果を分析するとかなりの数の未治療者がいます。たとえばⅢ度高血圧で治療につながっていない方は、私が所属する支部だけでも数千人もいます。協会けんぽでは未治療者対策の事業を実施しており、一刻も早く受診していただきたいのですが、健診後タイムリーに受診勧奨ができていない状況でした。このような現状を解決すべく、データを分析し、支部内で話し合い、健診機関に健診時点で受診勧奨をしていただくために新規事業を立ち上げました。さまざまなデータを分析し、課題を解決するための提案をし、必要と判断されれば各種事業を実施できることに大きなやりがいを感じています。

■新たに取り組んでいること、これからやりたいことはありますか?

現時点で私たちの保健事業が中小企業で働くすべての方に行き届いているとは言い難い状況です。日本経済を支える中小企業で働くすべての方が元気で活き活きとお仕事ができるように健康支援を届けたい。そのために、まずは既存の保健事業である、特定保健指導や重症化予防事業の実施率を上げること、私たちの保健指導の質を向上させ事業主や支援対象者の信頼を得ることで、健康で困ったことがあれば協会けんぽという最後の砦があると思ってもらえるよう活動したいと思います。

また、個別支援のみでは予防活動には限界があります。よって、協会けんぽのすべての加入者が健康になれるよう、健康宣言の後押しをし、健康問題が発生しづらい職場になるためのお手伝いができればと思っております。

一方で支部保健師は、上述した保健事業の実施や保健指導者の育成・マネジメントの役割が大きく、事業所に出向く機会は限られており、加入者や事業所のニーズにタイムリーに応えられていない可能性もあります。その点を解消できるように、保健指導者との情報共有を今まで以上に密にすること、私たちももう少し現場に出て、生の声を聴く機会を増やし保健事業に反映させていきたいと考えております。

■協会けんぽへの就職活動ではどんなことをしましたか?

健康支援が届きづらい中小企業で働く人々の健康支援をしたいと考えていたところ、学生時代に実習でお世話になった協会けんぽのことを思い出しました。協会けんぽで支部保健師を募集していることを知り応募しました。

現在は、支部保健師の採用を強化する方針となっています。新卒採用はもう少し時間がかかりそうですが、若い方も積極的に採用しようと考えております。ぜひ協会けんぽのホームページを覗いてみてくださいね。

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協会けんぽ勤務の保健師Kさん
中小企業の健康経営と加入者の健康保持・増進を支援

 

Kさんの顔イラスト

  • 現在の勤務先:協会けんぽの保健師 (3年従事)
  • 趣味:旅行

■協会けんぽとは?

協会けんぽ(全国健康保険協会)と聞いてもどんな組織かピンとこない方も多いかもしれませんが、中小企業が主に加入している健康保険の医療保険者です。

健康保険には、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度の3つがありますが、協会けんぽはそのうちの被用者保険に含まれます(詳しくは『RB』を見てね!)。
協会けんぽは、被用者やそのご家族が病気やけがをした際に医療費を負担したり、給付金を支給したりする「保険給付」や、健康の保持・増進を図る「保健事業」などを行っています。

協会けんぽには約4,000万人(国民の約1/3)の働く人々とその家族が加入していて、医療保険者(全国健康保険協会や健康保険組合等)のなかでは日本で一番大きな組織です。本部のほかに47都道府県に支部があり、支部保健師(正規保健師)は約80名、保健指導を主に実施する保健指導者(契約保健師、契約管理栄養士)は数百名が働いています。

■協会けんぽの保健師の仕事内容

支部保健師や保健指導者が所属する保健グループは保健事業を推進しています。保健事業の推進にあたっては、健康診断の結果やレセプト(診療(調剤)報酬明細書)のデータを合わせて分析し、その結果に基づいて取組むことが重要です。

協会けんぽにおいても、保健事業実施計画(データヘルス 計画)を策定して、PDCA サイクルを意識した取組みを行っています。保健事業実施計画は、地域ごとの健康課題のほか、行政機関や関係団体との健康づくりに関する連携等、各々の地域の実情を踏まえて策定する必要があるため、支部ごとに地域の健康特性を把握し、独自性を発揮して策定しています。

保健グループは、保健事業の柱である「特定健診・特定保健指導の推進」「重症化予防の対策」「コラボヘルスの取り組み(健康宣言事業所等のサポート)」を実施しており、それに加えて支部保健師は、保健指導者の育成やマネジメントを行っています。

主な仕事は以下のようなことです。

●特定保健指導・その他保健指導・重症化予防の実施
●健康宣言事業所等のサポート
●健康教育
●保健指導者(契約保健師等)の育成やマネジメント
●保健事業の企画・運営・評価
●健康診断の結果やレセプトのデータの分析による健康課題の把握
●データヘルス計画の作成

保健事業の柱の一つである特定保健指導は、協会けんぽの保健指導者が事業所に伺って行う方法(直営)と健診機関や保健指導専門機関に委託をして行う方法があります。直営の場合は、事業主に保健指導の重要性について理解していただき、日程や指導場所、指導方法の調整、保健指導者との調整など事前の準備が重要です。また委託による特定保健指導についても、保健指導の質の管理や進捗管理が欠かせません。

また、自支部の健康課題を明らかにするために、健康診断の結果とレセプトのデータを合わせて分析します。その上で、たとえば糖尿病によって新規に人工透析に至る人を減らそうという上位目標を設定したら、どうすれば人工透析に至らせないのか、つまりどのような予防活動を行えば糖尿病の重症化を防ぐことができるかを考え、保健事業の計画を立てます

支援方法としては、糖尿病患者さんへの保健指導等、そもそも糖尿病にならないための予防活動の一つとして特定保健指導の実施などが挙げられます。
また、重症化する要因として、忙しくて病院に行けないなど、働き方の課題もあるため、健康で働きやすい職場になるように健康経営に取り組んでいただいたり、広く生活習慣病予防について知っていただくために健康教育等のポピュレーションアプローチを行うこともあります。

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保健事業は保健師のみで完結するわけではなく、支部内の事務職と共に進めていきます。また、外部委託機関、行政機関、医師会(医療機関)、産業保健総合支援センターなどの関係機関と連携して業務を行う場合もあります。動きとしては行政保健師にも近いですが、加入者は働いている人のため事業所単位での健康施策も考えることから産業保健師の要素もあります。

■やりがいはどんなところに感じていますか?

健診結果を分析するとかなりの数の未治療者がいます。たとえばⅢ度高血圧で治療につながっていない方は、私が所属する支部だけでも数千人もいます。協会けんぽでは未治療者対策の事業を実施しており、一刻も早く受診していただきたいのですが、健診後タイムリーに受診勧奨ができていない状況でした。このような現状を解決すべく、データを分析し、支部内で話し合い、健診機関に健診時点で受診勧奨をしていただくために新規事業を立ち上げました。さまざまなデータを分析し、課題を解決するための提案をし、必要と判断されれば各種事業を実施できることに大きなやりがいを感じています。

■新たに取り組んでいること、これからやりたいことはありますか?

現時点で私たちの保健事業が中小企業で働くすべての方に行き届いているとは言い難い状況です。日本経済を支える中小企業で働くすべての方が元気で活き活きとお仕事ができるように健康支援を届けたい。そのために、まずは既存の保健事業である、特定保健指導や重症化予防事業の実施率を上げること、私たちの保健指導の質を向上させ事業主や支援対象者の信頼を得ることで、健康で困ったことがあれば協会けんぽという最後の砦があると思ってもらえるよう活動したいと思います。

また、個別支援のみでは予防活動には限界があります。よって、協会けんぽのすべての加入者が健康になれるよう、健康宣言の後押しをし、健康問題が発生しづらい職場になるためのお手伝いができればと思っております。

一方で支部保健師は、上述した保健事業の実施や保健指導者の育成・マネジメントの役割が大きく、事業所に出向く機会は限られており、加入者や事業所のニーズにタイムリーに応えられていない可能性もあります。その点を解消できるように、保健指導者との情報共有を今まで以上に密にすること、私たちももう少し現場に出て、生の声を聴く機会を増やし保健事業に反映させていきたいと考えております。

■協会けんぽへの就職活動ではどんなことをしましたか?

健康支援が届きづらい中小企業で働く人々の健康支援をしたいと考えていたところ、学生時代に実習でお世話になった協会けんぽのことを思い出しました。協会けんぽで支部保健師を募集していることを知り応募しました。

現在は、支部保健師の採用を強化する方針となっています。新卒採用はもう少し時間がかかりそうですが、若い方も積極的に採用しようと考えております。ぜひ協会けんぽのホームページを覗いてみてくださいね。

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