QB保健師2023-2024
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0 000030 マッチングとは,ある症例群に対して対照群を選定する際に,交絡因子として考えられる性別や年齢,居住地域などを症例と一致させることを指します.マッチングの理想は「コホート研究でマッチングすると交絡を防げる」であって,「症例対照研究では,解析の段階でマッチングしたことを考慮して解析することにより交絡を防げる」というのが建前です. しかし実際のコホート研究では,大多数の人を対象としてさまざまな要因との関連も考えながら,最終的に疾病が発症するかどうかを検討することに意味があります.そのため,あらかじめマッチングを考慮して対象者を集めると,対象者集めでいろいろな条件がつくことになり,対象者を集めにくい状況が生まれてしまいます.交絡に関しては,最終的に解析の段階でも調整することはできるので,コホート研究でマッチングが実際に行われることは多くはありません. 一方,症例対照研究では,少ない症例に対して解析をするため,「適切な対照選び」が重要になります.この適切な対照を選ぶために,コホート研究と同じように交絡因子に関して考慮し,解析をする必要があります.  具体的にどういうことかを,次のような極端な状況から考えてみましょう. 症例対照研究で,調査対象者を 症例:対照=1:1 で選んだところ,以下のデータが得られたとします. ここで,性別と年齢についての分布の状況をみてみると,以下の表が得られました.喫 煙非喫煙喫 煙非喫煙喫 煙非喫煙喫 煙非喫煙症例群対照群 020 この例では,年齢別男女別の層別解析を行っても,年齢や性別の偏りが大きくて0の多いセルがたくさんあるため,オッズ比を正しく推定することができません.このような場合, 調査対象者を選ぶ段階で,調整したい重要な因子(ここでは性別・年齢)についてあらかじめマッチングを行うことで,交絡を制御することが可能です. ただし,調整したい交絡因子が性別だけ,といったように1要因であればまだよいのですが,性別も,年齢も,喫煙の有無も…と調整したい要因が増えると,それに該当する調査対象者を選びにくくなり,また本来は危険因子である因子(たとえば喫煙)までマッチングしてしまう危険性もあるので,注意が必要です.QUESTION BANK保健師 2023-24喫煙(曝露)非喫煙(非曝露)症例群30対照群70男 性中 年高齢者30507030女 性中 年200200高齢者300485マッチング

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