●成長・発達〔p.59〕が著しく,生活の基盤を獲得する時期.●ライフサイクルは,発達の特徴などからいくつかの段階に区分され,それらを発達段階という.区分の方法は,学問領域や提唱者の考え方によって異なる.本章では,大きく小児期・成人期・老年期の3つの発達段階に分けて解説する.●どの発達段階にある人も看護の対象となるため,看護師はライフサイクルにおける各発達段階の特徴や発達課題〔p.42〕,健康上のニーズ〔p.21〕,起こりやすい健康上の問題を知っておく必要がある.死ルクイサフイラ発達段階●老いや喪失に適応し,精神的に円熟する時期.●心身が成熟していき,社会の中心的な役割を担い,生産的に活動する時期.●疾患や治療,入院などが発達の妨げと豆知識看護の対象としての個人〔p.16〕は,生まれてから一生を終えるまで発達し続ける存在である.その発達の過程は,いくつかの段階に分けられ,それぞれの段階にある人の特徴やニーズは異なる.看護師は,対象者がどのような発達段階にいるのかを十分に理解して,どんな健康状態〔p.250〕であっても健全な発達を遂げられるよう支援していく必要がある.本章では,小児期・成人期・老年期という3つの発達段階ごとの特徴やニーズ,看護のポイントを解説する. 発達段階に区分される ライフサイクルとは●ライフサイクルとは,個人の出生から死までの生涯の過程を,時間の流れに沿って連続的にとらえた概念である.ライフサイクルのなかで,個人は様々なライフイベント〔p.43〕を経験し,身体的・精神的・社会的に発達していく〔p.39〕.発達心理学者のE. H. エリクソンは,人の生涯を通した心理・社会的発達を8つの段階に分け,それぞれの発達課題を示しました〔p.47〕.エリクソンがこのような発達の過程をライフサイクルとよんだことから,看護学ではライフサイクルという用語が広く用いられています.「ライフサイクル」は,就職や結婚,子育てなどのライフイベントを大多数の人々が共通して経験することを前提に考えられています.一方で,時代の変化とともに,現在では生き方が多様化していることから,社会学の分野では個人の人生の多様性を尊重した「ライフコース」という考え方が,用いられるようになっています.小児期〔p.56〕老年期〔p.186〕成人期〔p.122〕38なる場合がある.時間の流れに沿って生涯を連続的にとらえる出生監 修石川ふみよ●●全体像●●●●発達段階ごとの個人の理解と看護
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