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●身体の形態が大きくなり,身体機能が高度に分化して安定した後,加齢〔p.187〕に伴い形態・機能が減退していく過程を指す.●走れるようになり走力が向上していき安定した状態になる.その後,●形態が増大する(身長が伸びる,体重●運動機能が向上する(歩けるようになる,走れるようになる,箸が使えるようになるなど).●生殖機能が成熟する.●機能が減退する(体力が低下する,視力が低下する,聴力が低下するなど).など身体的な発達●自分の内面と向き合い葛藤しながらアイデンティティを確立していく.その後も自身の変化により揺らぐアイデンティティを再構築していく.●家族や学校,職場,地域で所属する集団などの価値観や規範,行動様式などを学習し,対人関係の構築や役割の遂行などを通じて社会の一員として適応していく過程を指す.●所属する集団のなかで,家族や友人,パートナー,同僚などと人間関係を築き,それを深める.●仕事での経験を積み,キャリアに応じ社会的な発達●周囲の人と良好な関係を築き,自らの役割を果たすことで,学校や職場,●親役割や介護者役割など,ライフイベントに応じた役割を担う.●これらの変化のうち,身長や体重などの量的な変化に着目したものが成長である〔p.59〕.成長に対して,発達を質的変化と●発達は,身体的・精神的・社会的側面が互いに影響し合っている.例えば,第二次性徴〔p.111〕における急激な身体変化によってセクシュアリティ〔p.118〕が変化する,仕事での次世代育成や子育てなどのような社会的変化に伴って精神的に成熟する,などである.発達段階ごとの個人の理解と看護例例例●知的機能や情緒機能の高度な分化や,ライフイベント〔p.43〕などによる感情の変化やストレスに適応していく過程を指す.●情緒が分化し,感情表現が多様になる.●多様な経験により,論理的・多面的な●アイデンティティ〔p.47〕を確立し,その後も葛藤を経験しながら再構築を繰り返す.●感情への向き合い方を学び,コントロールできるようになる.●多様な経験により,ストレスへの適応など精神的な発達発達は,構造や機能の変化…どこかで習ったような…発達において,個々の器官や生体全体が形態的・機能的に完成した状態であること,または完成に至るまでの過程を「成熟」といいます.学問領域によって定義は異なりますが,看護では,発達に含まれる用語として,身体的・精神的・社会的の各側面において「成熟」という言葉が使われます.良いところに気づいたね.この本の「看護の対象理解」の章のなかで,看護の対象を生物体システムとしてとらえてみると「発達は,システムの構造や機能が高度化・複雑化していくこと」〔p.9〕,それを個人に当てはめてみると「発達は,個人がより高度なシステムになっていく過程」〔p.11〕と説明したね.これは,次のような具体例でみると理解しやすいよ.これが「私」…10歳これが「私」!40歳これが「私」!70歳39 ライフサイクルにおける変化の過程 発達とは●発達とは,出生から死までのライフサイクルのなかで人が変化する過程である.これは,身体的・精神的・社会的な構造や機能が,互いに関連し合って全体として変化していく過程であり,構造や機能の高度化・複雑化だけでなく,老化〔p.187〕に伴う減退も含む.して狭義に用いることもあるが,互いの関連性が強いことから,厳密に区別せず「成長・発達」と表現する場合もある.が増えるなど).思考が可能になる.力が向上する.た役割を担う.走る能力の発達加齢に伴って走力が徐々に低下していく.アイデンティティの発達対人関係の発達など地域のグループなど,自分の所属する集団の一員として適応していく.

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