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●日常生活活動(ADL):activities of daily living●中年期までに比べ,様々な疾患を発症しやすくなる時期であり,複数の疾患を抱えることもある.●加齢により回復力が低下するなかで,ADLを維持するためだけでなく,仕事や社会活動などを続けている人は,その役割を維持するためにもリハビリテーション〔p.262〕が重要となる.●長い時間をかけて生活習慣が確立されているA様A様治療計画治療計画●役割変化が大きい時期であるが,新しい役割を満足に遂行できない場合がある.●定年退職により経済状況が変化するなか,病いの体験が加わることで経済的な負担が増える.●退職時期や老後の余暇活動などの将来設計の変更が必要になり,人生計画の編み直し〔p.339〕が求められる場合がある.●余暇時間が増える時期であるが,療養のため●長期間にわたって築いてきた生活が困難になることで,自尊感情の低下や自己概念の揺らぎをきたす場合がある.また,社会的役割の喪失や,心身の衰えを自覚するなかでの病いの体験は,老後への不安をさらに感じやすくさせるため,老年期に向けたアイデンティティを再構築〔p.145〕していく必要がある.●将来設計の変更が必要になると,目標としていた年齢まで働けないなど,やるせなさや虚しさを感じる場合がある.●余暇時間を満足に過ごせず,退屈や孤独を感じることがある.●親との死別など,喪失体験が増える時期に病いを体験することで,死を身近に感じ死への恐怖を感じやすい.●子どもが独立し仕事や家庭で多忙になると,●親の介護などを他者に支援してもらう場合が+αもっとわかる!こんな身体で老後大丈夫かしら…習慣を変えられるかな…70歳まで働きたいけど…満足に余暇時間を過ごせない場合がある.子どもからの支援を得にくい場合がある.ある.144 身体機能や役割が変化するなかでの影響 向老期における病いの体験●向老期は,身体の衰えの自覚や老後への不安,役割変化が大きい時期であり,そこに病やまい〔p.267〕の体験が加わると,身体的側面だけでなく,精神的,社会的側面にも影響が及ぶ.そのため,時間をかけて築いてきた生活への影響も大きくなる.●看護師は,次のような向老期の特徴や健康上のニーズ〔p.145〕を理解し,成人の学習の特徴〔p.284〕もふまえながら,対象者が病いの体験に適応し,老年期〔p.186〕でのさらなる機能低下に備えられるように支援する必要がある.病いによる精神的な体験病いによる身体的な体験ため,行動変容が難しい場合がある.病いによる社会的な体験

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