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●動脈血酸素分圧(PaO2):arterial oxygen partial pressure ●動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2): arterial carbon dioxide partial pressure●肺弾性収縮力(肺が元の大きさに戻ろうとする力)の低下によって,呼気時に肺がしぼみにくくなる.●肋軟骨の石灰化などによる胸壁の硬化(胸郭コンプライアンスの低下)や,呼吸筋(横隔膜や肋間筋)の筋力低下によって,吸気時に胸腔を広げにくくなる.●咳嗽反射の低下や気道粘膜の線毛運動の低下によって気道クリアランス(気道内の異物を痰として排出する能力)が低下する.➡気道分泌物の貯留➡呼吸器感染症のリスク⬆●その他,円背などの胸郭の変形〔p.210〕も胸郭コンプライアンスを低下させる要因となる.…⬇⬇●加齢により呼吸器は影響を受けやすく,次のような呼吸機能の低下を生じるが,日常生活で症状を自覚することは少ない.しかし,運動時には呼吸数の増加が顕著となる.さらに,呼吸器感染症〔病④p.92〕の罹患や手術後などストレスがかかる場合には,労作時に動悸や息切れなどが生じやすくなる.●この他に,肺胞表面積の減少や換気血流比不均等〔病④p.29〕による肺拡散能の低下によって,動脈血ガス分析では,PaO2(動脈血酸素分圧)の低下がみられる.一方で,二酸化炭素は酸素より拡散しやすいため,PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)は加齢による影響を受けない.+αもっとわかる!198 吸気時にも呼気時にも影響 加齢による呼吸器系の変化●呼吸器系は,呼吸に関わる気道や肺,胸郭などで構成される.気道クリアランス〔看②p.174〕の低下咳嗽反射⬇線毛運動⬇気道クリアランス気道分泌物の貯留呼吸器感染症胸郭の動き胸郭肺胞成人期の目安石灰化これらにより呼吸機能検査〔病④p.61〕では,●肺活量⬇●残気量⬆●1秒量⬇・1秒率⬇がみられる.吸気時横隔膜胸郭コンプライアンスの低下・呼吸筋の筋力低下胸郭コンプライアンス呼吸筋の筋力⬇広がりにくい成人期の目安呼気時肋間筋肋軟骨肺弾性収縮力の低下肺弾性収縮力⬇肺胞しぼみにくい肺活量残気量

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