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●入院や床上安静を必要とする状況.●症状や徴候が出現し始●急性期の対象者は,適切な治療によって回復期〔p.326〕に向かうことが多い.回復期を経て治癒する場合もあれば,慢性期〔p.336〕に移行する場合もある.また,急性期から回復できず終末期〔p.362〕に至る場合もある.医学的な健康状態急性期とは,疾患や事故などによって医学的な健康状態が急激に変化し,速やかな治療やケアを必要とする時期である.対象者は非日常的な環境下で様々な意思決定〔p.303〕を求められ,家族などの重要他者〔p.35〕も影響を受ける.看護師は,対象者や重要他者がこのような状況に適応できるように支援する. 病状が急激に変化する時期 急性期とは●急性期とは,医学的な健康状態〔p.263〕が急激に変化し,安定のために専門的な治療やケアを必要とする時期であり,身体的変化や入院などに伴う精神的・社会的な影響も生じる.主に,軌跡発症局面〔p.311〕,急性局面〔p.316〕,クライシス局面〔p.321〕などが含まれる.●急性期に至るまでの軌跡は,対象者によって異なる.急性疾患〔p.267〕や事故などで健康状態が突然悪化する場合もあれば,急性期に至る前の軌跡や,急性期以降の軌跡の予測も含めてみると,軌跡の形は人によって違うということがわかります.急性期といっても,突然発症した人と慢性疾患が徐々に悪化した人ではニーズが異なりますよね.さらに,急性期の持続期間や重症度〔p.300〕,生命予後,後遺症の有無などによって軌跡の形は変わるので,ニーズも変わってきますね.その通り.急性期の人を理解し,看護を提供するためには,急性期の前後の経過も把握することが重要なんだ.「今,急性期にある」という点では同じでも,そこに至るまでの経過とこれから起こりうる未来を含めた軌跡の形は人によって違うからね.急性期の人は,軌跡発症局面,急性局面,クライシス局面の特徴やニーズをもっていることが多いから,本章ではこの3つの局面を解説するよ.ただ,急性期でも他の局面が現れる場合〔p.280〕や,複数の局面が重なる場合もあるから,全ての局面を理解しておく必要があるね.軌跡発症局面〔p.311〕めている状況.から急性期急性局面〔p.316〕クライシス局面〔p.321〕●生命の危機状態にある状況.回復期〔p.326〕を経て治癒,あるいは慢性期へ終末期〔p.362〕へ298慢性疾患〔p.268〕の急性増悪や,手術などの侵襲〔p.400〕で急性期に至る場合もある.急性期を含む軌跡の例前軌跡局面〔p.292〕良い慢性期〔p.336〕から悪い監 修大山 祐介●●急性期とは●●急性期の個人の理解と看護

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