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●生活の質(QOL):quality of life❶当事者が参加する●対象者,家族などの重要他者〔p.35〕,医師,看護師など,対象者の健●当事者が対話できる環境をつくる.●対象者や重要他者が参加しやすいように,コミュニケーションをとる.●対象者の価値観や生活状況などを,積極●教材やパンフレットを用いるなど,理解しやすい情報提供に努める.●対等で,互いに尊重できる関係性を築く.●誤解があれば説明して誤解を解く.対象者自身も気づいていないニーズがあれば明確にする.●問題や目標などの情報を整理し,共通理●治療法を選択した結果を想像できるように支援し,メリットもデメリットも話し合う.●熟考できるように時間を確保する.●励ましや不安の傾聴,情報提供などにより安心感を与える.●選択肢の実現の可能性を具体的に検討する.●対象者のペースに合わせて支援することを保証する.●合意後は,対象者の選択を支持し,その●医療従事者間で,決定した内容を共有し,●結果が思わしくない場合や,対象者の考えが変わった場合には,意思決定の機会を再度設ける.急性期の個人の理解と看護インフォームドコンセントのように,医療従事者が一方的に情報を提供するだけでは,対象者のアドヒアランス〔p.343〕が高まらない場合もあります.また,医学的に良いとされる治療法が必ずしも「対象者にとっての最善」と一致しないということもあります.例えば,大手術でがんを取りきることよりも老後を穏やかに過ごすことを優先したい高齢者のケースなどです.このような不一致を解消する方法として,SDMの考え方が医療の現場に浸透しつつあります.また,SDMは,対象者の代わりに重要他者が意思決定を行う場合や,終末期に関する意思決定〔p.371〕の場面でも用いられています.的に傾聴する.など解を促進する.人の望む結果になるように支援する.サポート体制を強化する.305 対話に基づいて本人が決定する 共有意思決定(SDM)●共有意思決定(SDM)とは,対象者や家族,医療従事者などが協働して健康に関連した意思決定を行うプロセスである.●SDMでは,対話によって医療従事者と対象者が互いの情報を提供することで,共通の基盤をつくる.その基盤をもとに,「対象者にとっての最善は何か」を話し合い,決定していく.●SDMの効果としては,個人の健康やQOL〔p.253〕の向上,参加者の内的な成長や変化,決定に対する参加者の満足感の向上,倫理的なケアの実践などがある.康に関わる全員が当事者として参加する.❷対話し共通の基盤をつくる●当事者が互いのもつ情報を提供し,価値観や問題意識などを含む共通の基盤をつくる.情報提供■価値観,意向,治療への 期待,許容できる負担■不安,疑問■能力,職業や生活の状況■生活のなかで大切なこと など■価値観,アイデア,問題,目標,役割などに対する共通理解が基盤となる.❸決定について話し合う●基盤をもとに,何が対象者にとって最善か話し合う.基盤をもとにした意向❹合意●最終的には対象者自身が決定し,合意に至る.対話ができていれば,「医療従事者に任せる」という決定でもよい.SDMの過程対話情報提供■医学的見地からの選択肢■選択肢のメリット・デメリット■治療に伴う生活の変化共通の基盤形成対話基盤をもとに考えた最も良い治療法の提案決定看護のポイント

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