妻 ●血縁,婚姻,養子縁組などの法律上の関係で結ばれた人々を家族ととらえる.しかし,現在の日本において法律上の家族の定義はない.●遺伝的なつながりに着目して家族をとらえる.●その時代の典型的な家族の特性を集約したものを家族ととらえる傾向がある.●強い情緒的な絆で結ばれた人々を家族ととらえる傾向がある.●互いに家族であると認識している人々の集団を家族ととらえることが多い.●家族の定義やとらえ方は,学問領域によって異なる.看護学では互いに家族であると認識していることを重視する.Cがアセスメントしている「Aさんの家族」は,Aさんを含む家族全体(集団システムとしての家族)です.(Aさんの妻)家族という集団の理解Aさんの家族(=Aさんを含む家族全体という集団システム)のアセスメントAさんAさんの家族(=Aさんの妻という個人)のアセスメントAさんの妻は,面会には来ているけれどケアに参加していない.ずっと本を読んでいるから,Aさんに無関心なのかな? それともAさんの入院前にずっと介護をしていたから疲れが溜まっているんだろうか?この人たちは私の家族Aさんの妻はケアに参加していないけれど,息子たちが積極的にケアをしている.妻は育児の役割も担っていて家族での役割負担が大きいだろうから,面会時に休むことでバランスをとっているのかな? そうだとすれば,家族全体としてはうまく機能しているといえるのではないか?看護師C看護の現場で「Aさんの家族」というとき,「Aさんの妻」など家族成員の一人を指す場合と,「Aさんを含む家族全体」など家族全体(集団システムとしての家族〔p.559〕)を指す場合があります.このため,「家族」という言葉を使う際には,それが家族成員の一人を指しているのか,それとも家族全体を指しているのかを明確にする必要があります.例えば,次の例で看護師Bがアセスメントしている「Aさんの家族」は,Aさんの妻という個人です.一方,看護師看護師Bは「Aさんの家族」=「Aさんの妻」の「人間の反応」や,その背景をアセスメントしています.一方,看護師Cは「Aさんの家族」=「家族全体」の「人間の反応」や,その背景をアセスメントしています.どちらの視点も重要であることがわかりますね.このように,対象が個人か集団かによってアセスメントの内容や介入が異なる場合があります.看護師間で同じ「家族」という言葉を使っていても,それが指す対象が異なっていると,誤解が生まれてしまいます.この例からもわかるように,「家族」という用語を用いる場合には,まずそれが個人と集団のどちらを意味するのかを明確にすることが大切なのです.本章では,集団としての家族(家族システム)について解説します.個人としての家族(対象者の重要他者〔p.35〕としての家族)については,「個人の理解〔p.16〕」の章を参考にしてください.家族●医療情報科学研究所家族(家族全体)553「家族」がもつ2つの意味様々な学問領域における代表的な家族のとらえ方法学生物学社会学心理学家族看護学息子たち看護師B■様々な学問領域における家族のとらえ方
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