看みえ1-2立ち読み
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環境調整環境調整の歴史転倒転落予防■ベッドの高さは最も低くするか,端坐位で足底が床につく高さ*にすることが望ましい.*なぜなら■ベッドのストッパーはかけておく.足が引っかかりそうな場合は,キャスターを内側に向ける.■オーバーテーブルや床頭台,ベッド柵は,ストッパーがある場合は固定する.■患者さんの状態(ADLや意識レベル)に応じて必要な数のベッド柵を用いる.■患者さんが出入りする場所に,不要なものを置かないようにする.■履物は,患者さんが出入りする側に履きやすいようにそろえる.転倒転落防止のため,スリッパではなく,かかとのあるものや裏にすべり止めがあるものなど,脱げにくい履物の使用を勧める〔p.92〕.■床がぬれている場合は拭き取る.■点滴スタンドは,点滴が挿入されている側**に置く.その際,点滴ラインが絡んだり挟まったりしないようにする.**なぜならじょくそう褥瘡予防感染予防安 楽その他環境調整は「看護の基本」ととらえられています.最初に看護において環境調整が重要だと述べたのは,皆さんもご存じのF. ナイチンゲールです.ナイチンゲールは1859年に,著書『看護覚え書』のなかで「看護の基本要素」として,「新鮮な空気,陽光,暖かさ,清潔さ,静かさなどを適切に整え,これらを活かして用いること」を挙げ,「看護とは,(中略)こういったことのすべてを,患者の生命力の消耗を最小にするように整えること,を意味すべきである」と述べています.また,1960年に基本的看護の構成要素として「14の基本的欲求」を明らかにしたV. A. ヘンダーソンも,この基本的欲求の1つに「環境の様々な危険因子を避け,また他人を傷害しないようにする」と環境に関することを挙げています.入院している患者さんは,自宅とは異なる環境のため病室環境を調整することが難しかったり,健康状態の変化によって環境調整を自分で行えなかったりするため,この基本的なニーズを患者さん自身で満たせなくなります.そのため,看護師が環境調整をすることで患者さんのニーズを充足する必要があります.人と環境は密接な関係にあり,周囲の環境が健康に影響する場合もあるため,環境調整はとても重要なのです.快適で安全な環境は患者さんの基本的なニーズであり,それを提供するための環境調整は看護の基本です.これはナイチンゲールが論じた約160年前から,現在まで変わっていません.■定期的にシーツ類の換気・掃除や,シーツ交■ベッド周辺を常に清潔に保つ.ベッド柵や床頭台,オーバーテーブルはアルコールクロスなどの清拭用品で拭く.■ベッド周りを整理し,患者さんの手の届くところに必要なもの(ナースコール,ティッシュペーパー,ガーグルベースン,ゴミ箱など)を配置する.■シーツのしわを伸ばす.定期的にシーツ交換を行う.■カーテンやスクリーンでプライバシーを保護する.換〔p.78〕を行う.●医療情報科学研究所足底が床についていない状態から立ち上がろうとすると,体勢をくずして転倒する危険があるためである. 挿入部の反対側にあると,点滴ラインの絡まりや引っかかりが生じやすくなるためである.61

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