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「看護に期待すること」MSW:柏倉剛彦さん

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「看護に期待すること」MSW:柏倉剛彦さん
学校生活/オフタイム
2017.05.08
看護に期待すること 第3回
看護に期待すること 第3回写真

 


秋山あんじぇら(あきやま・あんじぇら)
福岡在住の看護大学4年生。日本肺癌学会「肺がん医療向上委員会」の学生広報大使、がん情報サイト「オンコロ」の学生スタッフを務めている。姉は医学生で、アイドルグループ「LinQ(リンク)」の元メンバー・秋山ありす。
Facebook https://www.facebook.com/kangonotamago/
 
柏倉剛彦(かしくら・たけひこ)
MSW歴15年。社会福祉士、認定社会福祉士(医療分野)、介護支援専門員。平成14年明治学院大学社会学部社会福祉学科卒業。複数の中小規模の病院でMSW業務の立ち上げに関わり、現在は低所得者への医療福祉や地域包括ケアに積極的に取り組んでいる。


 

不安を取り除くのがソーシャルワーカー

秋山あんじぇら(以下、秋山):インタビューを担当させていただく、看護学部4年生の秋山あんじぇらと申します。よろしくお願いします。

柏倉剛彦(以下、柏倉):メディカルソーシャルワーカー(以下、MSW)の柏倉剛彦です。よろしくお願いします。

秋山:まず、MSWのお仕事について教えてください。

柏倉:病院では、治療や健康に関することは、医師や看護師が中心になって対応しますが、患者さんはそれ以外にもさまざまな不安を抱えることがあります。それらをできるだけ取り除き、少しでも安心して療養生活を送れるように手助けをするのがMSWの仕事です。社会福祉士や精神保健福祉士という国家資格を持っている人が、主にSWとして福祉・介護・医療分野などで働いていて、そのなかで、医療現場に従事している人がMSWと呼ばれています。

秋山:具体的に、患者さんのどのような不安に対してサポートされているのでしょうか。

柏倉:主なものを挙げるとすると、経済面、治療後の社会復帰、介護などへの不安ですね。最近では、介護を必要とする高齢患者さんに対して、退院後の不安を解消して在宅医療に移行できるように、介護サービスや訪問診療などの導入支援を行うことも増えてきました。

秋山:実を言うと、私は授業でチーム医療の勉強をするまで、SWという仕事をほとんど知りませんでした(苦笑)。

柏倉:そうでしたか(笑)。看護学生さんでも知らないとなると、一般の人にはもっと認知されていないかもしれません。SWの存在をもっと社会にアピールしていくことも、私たちの仕事のひとつだと感じています。

看護師は不安や悩みの“第一発見者”

秋山:「MSWと看護師の連携」については、どのようにお考えでしょうか。

柏倉:看護師とMSWは、患者さんを身体的・精神的に支援していく仲間です。また、病院では、看護師と仕事をすることがもっとも多いので、日頃からコミュニケーションをしっかりとって、チームとしてのつながりを大事にしていかなければならないと考えています。

秋山:看護師がMSWと協力していくうえで大切なことを教えてください。

柏倉:看護師は、患者さんと接する時間が長いため、何気ない会話のなかで不安や悩みを聞くことが多いと思います。つまり、不安や悩みの“第一発見者”になることが多いわけです。ですので、それらの問題を解決するためにMSWにつなげてほしいですね。そのためには、患者さんの生活のさまざまなことに関心を向けることが大切だと思います。

秋山:なるほど。でも、「どのくらいなら共有してよいのか」と迷ってしまいそうな気がします。

柏倉:見極めは難しいですよね。個人的には、「どうしようかな」と悩むぐらいだったら共有してしまったほうがいいと思います。ただ、病院によってMSWの役割は異なるので、実習先や勤務先の先輩に確認しておくといいですね。

秋山:なるほど、参考にさせていただきます!柏倉さんは、看護師が「こんな対応をしてくれてよかった!」と思ったことはありますか。

柏倉:「医師が患者さんに入院を勧めているが、患者さんは拒んでいる」というケースは少なくないのですが、そのときに看護師が間に入って、入院したくない理由をうまく聞き出してくれると本当に助かりますね。例えば、「自宅で寝たきりの夫の介護をする人がいなくなる」とか、「家に残している犬や猫のことが心配」など。患者さん自身が不安や悩みを表出してくれないと対応が難しいのですが、看護師にはポロっと言ってくれることが多いんですよ。

秋山:私もそのような存在になれるように、頑張っていきたいと思います。では、柏倉さんが未来の看護師に期待することは何ですか。

柏倉:ひらめきのある看護師になってもらいたいですね。以前、退院してすぐに誤嚥性肺炎で再入院した患者さんがいました。このようなとき、誤嚥性肺炎の治療のことだけでなく、再発を起こさないように、いろいろな側面から考えてもらいたいです。体の機能の問題なのか、食事形態や介助の問題なのかなど、さまざまなひらめきがその後の支援につながるからです。最近は入院期間が短くなってきていますし、病院内でどこまで解決できるか不透明な部分もありますが、患者さんをさまざまな側面からみられる感性を磨いてもらいたいと思います。

課外活動で人としての器を広げる

秋山:柏倉さんが、学生時代に勉強以外で打ち込んでいたことはありますか。

柏倉:正直、勉強は苦手で(笑)。ほとんどボランティア活動に明け暮れていましたね。また、手話のサークルで、耳の不自由な方との交流などもやっていました。そのような活動が、いろんな人の考え方や価値観を知るきっかけになりましたし、人としての器を広げたり、心の柔軟度を高めたりする体験だったと思います。

秋山:看護以外に世界を広げることも大事ですね。最後に、看護学生にメッセージをお願いします。

柏倉:社会福祉の授業が苦手な看護学生さんは多いのですが、医療現場ではとても役立つので、がんばって勉強してみてください。また、勉強以外にもいろいろなことに興味をもって、楽しい学生生活を送ってほしいと思います。

秋山:勉強や活動など、新しい経験にわくわくしながら毎日を過ごしたいと思います。本日は、ありがとうございました!

看護に期待すること まとめ

 
 


※本記事は、弊社発行の無料情報誌『INFORMA2017春版』から転載・引用しています。

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秋山あんじぇら(あきやま・あんじぇら)
福岡在住の看護大学4年生。日本肺癌学会「肺がん医療向上委員会」の学生広報大使、がん情報サイト「オンコロ」の学生スタッフを務めている。姉は医学生で、アイドルグループ「LinQ(リンク)」の元メンバー・秋山ありす。
Facebook https://www.facebook.com/kangonotamago/
 
柏倉剛彦(かしくら・たけひこ)
MSW歴15年。社会福祉士、認定社会福祉士(医療分野)、介護支援専門員。平成14年明治学院大学社会学部社会福祉学科卒業。複数の中小規模の病院でMSW業務の立ち上げに関わり、現在は低所得者への医療福祉や地域包括ケアに積極的に取り組んでいる。


 

不安を取り除くのがソーシャルワーカー

秋山あんじぇら(以下、秋山):インタビューを担当させていただく、看護学部4年生の秋山あんじぇらと申します。よろしくお願いします。

柏倉剛彦(以下、柏倉):メディカルソーシャルワーカー(以下、MSW)の柏倉剛彦です。よろしくお願いします。

秋山:まず、MSWのお仕事について教えてください。

柏倉:病院では、治療や健康に関することは、医師や看護師が中心になって対応しますが、患者さんはそれ以外にもさまざまな不安を抱えることがあります。それらをできるだけ取り除き、少しでも安心して療養生活を送れるように手助けをするのがMSWの仕事です。社会福祉士や精神保健福祉士という国家資格を持っている人が、主にSWとして福祉・介護・医療分野などで働いていて、そのなかで、医療現場に従事している人がMSWと呼ばれています。

秋山:具体的に、患者さんのどのような不安に対してサポートされているのでしょうか。

柏倉:主なものを挙げるとすると、経済面、治療後の社会復帰、介護などへの不安ですね。最近では、介護を必要とする高齢患者さんに対して、退院後の不安を解消して在宅医療に移行できるように、介護サービスや訪問診療などの導入支援を行うことも増えてきました。

秋山:実を言うと、私は授業でチーム医療の勉強をするまで、SWという仕事をほとんど知りませんでした(苦笑)。

柏倉:そうでしたか(笑)。看護学生さんでも知らないとなると、一般の人にはもっと認知されていないかもしれません。SWの存在をもっと社会にアピールしていくことも、私たちの仕事のひとつだと感じています。

看護師は不安や悩みの“第一発見者”

秋山:「MSWと看護師の連携」については、どのようにお考えでしょうか。

柏倉:看護師とMSWは、患者さんを身体的・精神的に支援していく仲間です。また、病院では、看護師と仕事をすることがもっとも多いので、日頃からコミュニケーションをしっかりとって、チームとしてのつながりを大事にしていかなければならないと考えています。

秋山:看護師がMSWと協力していくうえで大切なことを教えてください。

柏倉:看護師は、患者さんと接する時間が長いため、何気ない会話のなかで不安や悩みを聞くことが多いと思います。つまり、不安や悩みの“第一発見者”になることが多いわけです。ですので、それらの問題を解決するためにMSWにつなげてほしいですね。そのためには、患者さんの生活のさまざまなことに関心を向けることが大切だと思います。

秋山:なるほど。でも、「どのくらいなら共有してよいのか」と迷ってしまいそうな気がします。

柏倉:見極めは難しいですよね。個人的には、「どうしようかな」と悩むぐらいだったら共有してしまったほうがいいと思います。ただ、病院によってMSWの役割は異なるので、実習先や勤務先の先輩に確認しておくといいですね。

秋山:なるほど、参考にさせていただきます!柏倉さんは、看護師が「こんな対応をしてくれてよかった!」と思ったことはありますか。

柏倉:「医師が患者さんに入院を勧めているが、患者さんは拒んでいる」というケースは少なくないのですが、そのときに看護師が間に入って、入院したくない理由をうまく聞き出してくれると本当に助かりますね。例えば、「自宅で寝たきりの夫の介護をする人がいなくなる」とか、「家に残している犬や猫のことが心配」など。患者さん自身が不安や悩みを表出してくれないと対応が難しいのですが、看護師にはポロっと言ってくれることが多いんですよ。

秋山:私もそのような存在になれるように、頑張っていきたいと思います。では、柏倉さんが未来の看護師に期待することは何ですか。

柏倉:ひらめきのある看護師になってもらいたいですね。以前、退院してすぐに誤嚥性肺炎で再入院した患者さんがいました。このようなとき、誤嚥性肺炎の治療のことだけでなく、再発を起こさないように、いろいろな側面から考えてもらいたいです。体の機能の問題なのか、食事形態や介助の問題なのかなど、さまざまなひらめきがその後の支援につながるからです。最近は入院期間が短くなってきていますし、病院内でどこまで解決できるか不透明な部分もありますが、患者さんをさまざまな側面からみられる感性を磨いてもらいたいと思います。

課外活動で人としての器を広げる

秋山:柏倉さんが、学生時代に勉強以外で打ち込んでいたことはありますか。

柏倉:正直、勉強は苦手で(笑)。ほとんどボランティア活動に明け暮れていましたね。また、手話のサークルで、耳の不自由な方との交流などもやっていました。そのような活動が、いろんな人の考え方や価値観を知るきっかけになりましたし、人としての器を広げたり、心の柔軟度を高めたりする体験だったと思います。

秋山:看護以外に世界を広げることも大事ですね。最後に、看護学生にメッセージをお願いします。

柏倉:社会福祉の授業が苦手な看護学生さんは多いのですが、医療現場ではとても役立つので、がんばって勉強してみてください。また、勉強以外にもいろいろなことに興味をもって、楽しい学生生活を送ってほしいと思います。

秋山:勉強や活動など、新しい経験にわくわくしながら毎日を過ごしたいと思います。本日は、ありがとうございました!

看護に期待すること まとめ

 
 


※本記事は、弊社発行の無料情報誌『INFORMA2017春版』から転載・引用しています。

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