看護過程におけるアセスメントは、疾患そのものではなく、さまざまな健康状態にある人々の「人間の反応」を理解するための行程で、書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』では、この行程を6つの思考段階で示しています。今回コラムのトピックに挙げた“データから情報への変換”も、“「人間の反応」の解釈”もアセスメントのなかの1つです。 “データから情報への変換”というステップは、フィジカルアセスメントなどによって収集したデータ1つ1つに対し、看護の知識を使って意味を付加することを言います。そこでは、単に検査値の正常/異常の意味付けだけでなく、一般的には異常なデータでも、その人にとっては適切という意味を付加することもあります。 一方、“「人間の反応」の解釈”は、アセスメントの視点ごとに“一般的な理想の「人間の反応」かどうか?”そして、“その人にとって適切な「人間の反応」かどうか?” を考えます。 ここまで、説明をご覧になった方や、書籍をお持ちの皆さんのなかには,「“データから情報への変換” も解釈なんじゃないの?」と思う方もいるでしょう。 その通りです。特に「個別性に基づく情報への変換」では、“一般的にどうか?” “その人にとってはどうか?” を考えます。この思考は、まさに解釈といえます。 それでは何が違うのでしょうか。答えは「解釈する対象」です。 “データから情報への変換” で行う解釈の対象はデータです。個々のデータを解釈することにより、情報へ変換します。それに対して、“「人間の反応」の解釈” の対象は、その名の通り「人間の反応」です。アセスメントの視点ごとに集めた情報のクラスターを「人間の反応」として解釈するので通常は複数の情報が必要になります。
“データから情報への変換” では、例えば「排便パターンが3 日に1 回」というデータについて、「一般的には少ないけど,この患者さんは普段から3 日に1 回だから通常通り」という変換をしたら、「排便が3 日に1 回だが、この患者さんにとっては通常通り」という排便パターンを解釈するための1つの情報を得ます。一方“「人間の反応」の解釈” では、排便パターンの情報に加えて、排便コントロール方法や緩下剤の使用量など複数の情報もふまえて、「排便習慣」という「人間の反応」は適切かどうかを解釈します。
(『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』p.94より一部改変して掲載)
第1版 B5判 380頁 定価(本体3,300円+税) ISBN 978-4-89632-801-1 発行日 2020-06-30
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