「目標・成果・成果指標の設定」は、看護過程の6ステップのひとつで、看護診断に続く段階です。アメリカ看護師協会(ANA)が1991年に示した6ステップの看護過程では、Outcome Identification(期待される成果の明確化)と呼ばれています。
看護学生の皆さんは、実習で出会う患者さんやペーパーペイシェントの「看護目標」を考える機会も多いでしょう。その際に何を目標にしたらいいのか、なぜ目標を決めなければならないのかなど、悩むことも多いでしょう。しかし、アセスメント・看護診断で対象者の看護診断(看護問題)、診断指標、関連因子を明確にしていれば、「目標・成果・成果指標の設定」に迷うことも悩むこともありません。
『看護がみえるvol.4 看護過程の展開(以下、看みえ④)』では、看護介入によって目指す患者さんの変化を「目標」「成果」「成果指標」に分けて解説していますが、第一のポイントは看護診断(看護問題)ごとに設定するということです。なぜなら、看護診断(看護問題)の要素から目標・成果・成果指標を導くことができるからです。次の表1を見てみましょう。
表1(看みえ④p.131をもとに作成)
目標・成果・成果指標が、1つ1つの看護診断(看護問題)から導かれることがわかります。これらの要素を把握するためには、正確なアセスメント・看護診断が基盤となります。
「成果指標」は、患者さんの成果の達成状況を示す具体的な指標のことをいいます。例えば、「歩行の改善」という成果を設定したら、その達成状況を確認するために「術後3日目までに〇〇さんが、看護師見守りのもと、病棟のトイレまで歩行できる」のように成果指標を設定します。成果指標は、ある時点での患者さんの望ましい状態を表したものともいえます。
成果指標の記述では、看護師ではなく患者さん(あるいは家族などの重要他者)を主語にします。「患者さんの安楽を考えて清拭ができる」など「看護師が主語になるもの」は成果指標にならないので注意しましょう。また、いつまでに何をどの程度できるようになってほしいのかを明確にすることが重要です。「理解する」「考える」などの測定できない動詞や、「少し」「かなり」などのあいまいな尺度は使わないようにしましょう。
目標・成果・成果指標を設定すると、看護介入によって目指すゴール地点や、そこまでの達成課題が明確になります。また、看護介入が適切かどうかを評価する基準にもなります。何を目指すのかわからないまま介入するのを避けるため、必ず看護介入よりも前に目標・成果・成果指標を設定しておくことが重要です。
●看護過程におけるアセスメントとは何ですか? ●看護過程における「看護計画の立案」で行うことは何ですか?
●目標・成果・成果指標の設定について詳しく知りたい→p.130、p.131 ●目標・成果・成果指標の設定で注意すべき3つのこと→p.132 ●成果指標の要素と良い例・悪い例の解説→p.133 ●目標・成果・成果指標の設定の具体例→p.134~p.136 ●成果の設定で考慮する3つの領域→p.137 ●看護診断を使わない場合、目標・成果・成果指標はどう設定したらいいのか?→p.137 読み込んでいます… 「Q&A一覧」へ戻る
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