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平成30年版 看護師国家試験出題基準を徹底分析

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平成30年版 看護師国家試験出題基準を徹底分析
国試対策
2017.07.11

「保健師助産師看護師国家試験出題基準 平成30年版(以下、「新出題基準」)」が2017年3月30日に厚生労働省から発表されました。本記事では、追加・削除された項目や注目すべき新項目を分野別にすべて列挙し、新出題基準を徹底分析します。


この記事のまとめ
  • 追加・削除された項目数を分野別に比較すると、「母性看護学」「看護の統合と実践」の追加が多く、具体化が進められたことが伺える
  • 第106回国家試験の問題をみると、新出題基準を想定して作られたと思われる問題(詳細はコチラ)があるため、第107回対策として過去問演習が有効である
  • 「成人看護学」「老年看護学」「小児看護学」において経過別の項目が充実したことから、今後、出題数が増加する可能性が高い
  • 「看護の統合と実践」に追加された「複合的な事象において看護の知識を統合し活用できる判断能力を問う」という項目は、今まで以上にたくさんの知識を理解しておかないと正答できないことが予想される。このため、過去問をただ解くだけでなく、周辺知識もしっかりおさえる必要がある

追加・削除された項目数

新出題基準と旧出題基準を比較し、追加・削除された項目数に着目して分析を行いました。

注目したいのは、追加と削除の差が大きい分野です。特に「看護の統合と実践」は前回の出題基準では小項目が明記されていませんでしたが、出題基準の内容が具体化され、追加項目が多くなっています。
また、「母性看護学」は追加項目が圧倒的に多く、内容の具体化・充実が図られました。一方で、「精神看護学」は項目の増減がほぼないことから、大きな内容の変化がなかったことが伺えます。

各分野での改訂ポイント

必修問題

厚生労働省:改訂概要
●他科目との整合性を踏まえて具体的な用語を見直したほか、基本的な臨床検査値の評価、輸液・輸血管理の基本などについて項目を追加し、災害看護の項目を削除した。

改定概要に加えて、以下のような改定が行われています。

  1. 旧出題基準の中項目「看護倫理」が新たな中項目「倫理原則」「看護師等の役割」に具体化
  2. 看護活動の場として学校・企業を追加
  3. 保健師助産師看護師の義務として、新たに「業務従事者届け出の義務」「臨床研修等を受ける努力義務」を追加
  4. 旧出題基準の中項目「関係職種との連携」が「看護の機能と役割」に変化。さらに訪問看護や退院調整などの地域看護を意識した小項目に整理

人体の構造と機能

厚生労働省:改訂概要
●他職種と共通の知識体系が築けるよう、基礎医学教育における体系や用語との整合性を踏まえて、全体について改めて項目を整理した。

項目の整理がメインで行われ、以前の出題基準と比べるとわかりやすくなった印象です。ただ、以下の表に挙げる項目に関しては新規で追加されたので注意しておきましょう。

疾病の成り立ちと回復の促進

厚生労働省:改訂概要
●疾病の予防、及び近年の状況を踏まえた再生医療や薬剤耐性<AMR>などの項目を追加し、疾病に対する医療について項目を整理した。
●基礎医学教育における体系や用語との整合性を踏まえ、各機能別の障害について、改めて項目を整理した。また、アナフィラキシーショック・敗血症等の全身性の障害や精神機能の障害について、項目を追加した。

改定概要に加え、以下のような改定が行われました。

  1. 旧出題基準では具体的な疾患名が明記されていなかったが、今回の改定で具体化が進み、疾患名が例示された。
    [【例】旧:視覚障害→新:視覚障害(白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症)]
  2. 精神機能の障害について、大〜小項目が追加された。ただし、「精神看護学」の大項目「2.主な精神疾患・障害の特徴と看護」とほぼ同様の内容となっている。

健康支援と社会保障制度

厚生労働省:改訂概要
●社会背景や看護を取り巻く状況と課題について、近年の状況を踏まえて具体的な項目を追加するとともに、社会保険及び社会福祉に関する法や施策と制度、公衆衛生や健康支援に係る項目について体系的な整理を行った。

改定概要にもある通り、近年の社会背景を踏まえて項目が追加されました。具体的には以下のようなキーワードです。

  • 少子化、晩婚化、晩産化
  • マイナンバー制度
  • 地域包括ケアシステム

また、第106回で新出題基準を意識したと思われる問題が出題されていたので紹介します。

基礎看護学

厚生労働省:改訂概要
●「必修問題」や「看護の統合と実践」など他科目との重複内容について全体的に整理し、輸液・ 輸血管理、保健・医療・福祉における連携など、基礎的かつ重要な項目について追加した。

必修問題で新たに追加された項目(輸液・輸血管理に関する小項目「輸液ポンプ、シリンジポンプ」「輸液」や看護の機能と役割に関する中項目「看護の機能と役割」が「基礎看護学」でも改めて追加されました。

また、旧出題基準では5つの小項目だった内容が、新出題基準で1つの小項目にまとめられたものもあります(下記)。このように、整理の過程で削除された小項目があることにも注意しておきましょう。

成人看護学

厚生労働省:改訂概要
●急性期、救急・クリティカルケア、周手術期、慢性期、セルフケア・社会的支援の獲得、リハビリテーションなど、各期における看護の基本について、体系を整理した。
●各機能障害のある患者については、アセスメント/検査・処置/治療/看護を体系的に問うことができるよう、項目を整理し具体的に明示した。

追加された項目は多くはありませんが、以下に挙げるように目標に関しては大きな変更があり、体系的に学習できるように項目が整理されました。

このような体系的な項目の整理によって、弊社書籍の『レビューブック』と同じ構成になりました。弊社で考える学びやすさと新出題基準が一致した結果で、第107回対策においても効果的に使える書籍であることが改めて証明されました

老年看護学

厚生労働省:改訂概要
●様々な健康状態・受療状況・生活の場に応じた高齢者への看護、高齢者に特有な症状・疾患・障害への看護について、体系的に問うことができるよう、項目を整理・追加した。

「成人看護学」での改定と連動して、経過別(急性期、慢性期、回復期、エンド・オブ・ライフ・ケア)の看護の理解が求められるようになりました。

また、目標Ⅲに大きな変化がありました。旧出題基準では「保健医療福祉制度における看護の役割について基本的な理解を問う。」となっていましたが、新出題基準では「多様な生活の場で高齢者の健康を支える看護について基本的な理解を問う。」に変化しました。具体的にみてみると、従来の施設サービス・居宅サービスに関連する項目に、「高齢者に特徴的な災害時の看護(9-Ⅰ-小項目a〜c)」などが追加されています。

小児看護学

厚生労働省:改訂概要
●子どもの成長・発達の特徴や生活に応じた、子どもと家族への支援について、項目を整理・追加した。
●疾患に対する子どもの理解と説明やプレパレーション、診療・入院等が子どもと家族に与える影響、多様な状況にある子どもと家族への支援などについて、項目を整理・追加した。

旧出題基準の目標Ⅱ「健康障害のある小児と家族が生活・療養するための看護について基本的な理解を問う」が3つに分割され、目標Ⅱ「病気や診療・入院が子どもと家族へ与える影響と看護について基本的な理解を問う。」、目標Ⅲ「特別な状況にある子どもと家族への看護について基本的な理解を問う。」、目標Ⅳ「健康課題をもつ子どもと家族への看護について基本的な理解を問う。」として独立しました。

これに対応し、目標Ⅲでは中項目「虐待を受けている子どもと家族への看護」が新規で追加されており、目標Ⅳでは「成人看護学」「老年看護学」と同様、経過別に項目が整理されています。

母性看護学

厚生労働省:改訂概要
●リプロダクティブヘルス、ウィメンズヘルス、妊娠・分娩・産褥・早期新生児期の各期における看護に必要な基本的事項、周産期医療システムなどについて、体系的に項目を整理・追加した。
●特に、性の多様性、生殖補助医療、出生前診断等における倫理的課題、及び暴力・虐待等の防止など、女性の理解や看護に必要となる近年の社会背景を踏まえた具体的な項目を追加した。

追加された項目が最も多く、一方で削除された項目が少ない分野です。そのため、旧出題基準と比較して大幅に具体化が進んだ分野といえます。

厚生労働省の改定概要に加えて以下のような改定が行われました。

  • 中項目「看護の基盤となる概念」が追加され、「ウェルネス」「エンパワメント」「ヘルスプロモーション」といった小項目が追加された。
  • 目標Ⅳ「周産期医療のシステムと母子保健施策の活用についての基本的な理解を問う」が新設され、これに対応して旧出題基準でみられなかった中項目「周産期医療のシステム」が追加された。

精神看護学

厚生労働省:改訂概要
●精神看護の対象となる主な疾患・障害の特徴と看護について、症状/検査/薬物療法などを体系的に問うことができるよう、項目を整理し具体的に明示した。併せて、生物・心理・社会的側面に注目した支援についても項目を整理した。

追加・削除された項目数が一番少なく、旧出題基準から大きな変更はありませんでした。
目標Ⅱ「主な精神疾患・障害の特徴と看護について基本的な理解を問う」が新設され、旧出題基準で小項目だった「精神疾患・障害」が大項目に整理され、具体化されました。疾患についての知識がより重要視されたようです。
「性同一性障害」「レジリエンス」「心理的教育アプローチ」「電気けいれん療法」「多職種連携と看護の役割」などの項目が追加されている点に注目しておきましょう。

在宅看護論

厚生労働省:改訂概要
●小児・認知症・精神疾患・難病等の特徴的な状況にある在宅療養者、及び医療管理を必要とする在宅療養者への看護について、体系的に問うことができるよう、項目を整理・追加した。
●療養の場の移行や地域包括ケアシステムにおける多職種連携と看護について、項目を整理・追加した。

追加された大項目・中項目の数が「老年看護学」に次いで多い分野となりました。
また、目標Ⅲ「地域包括ケアシステムにおける在宅看護の位置付けと看護の役割について基本的な理解を問う。」が新設され、他の分野(「健康支援と社会保障制度」「老年看護学」「看護の統合と実践」)でも小項目として扱われている地域包括ケアシステムの重要度が高まっていることが伺えます。

中項目では「災害時における在宅療養者と家族の健康危機管理」「急性期にある療養者」などが追加されている点に注目しておきましょう。

看護の統合と実践

厚生労働省:改訂概要
●複数科目の知識を統合する能力を問うことや、多重課題や集団としてのアプローチに必要な広い知識を統合する能力を問うことなど、複合的な事象において、より臨床実践に近い形で知識・技術を統合して判断する能力を問う出題内容となるよう、大・中・小項目を新たに作成し、全体の見直しを図った。
●災害と看護、及び国際化と看護について、小項目を新たに作成した。看護におけるマネジメントについては、「基礎看護学」との重複内容を整理するとともに小項目を新たに作成し、保健・医療・福祉の機能分化と連携や人材育成・活用などの項目を追加した。

旧出題基準では中項目までしか明記されておらず具体性に欠けていましたが、今回の改定で小項目が追加され、国試で出題される項目が鮮明になりました。また、旧出題基準でみられた他分野との重複も整理されています。

中項目では「人材育成・活用」「看護政策と行政」「国際社会における看護の対象」などが新規で追加されたため注目しておきましょう。

一番大きく変わったポイントとして、目標Ⅳ「複合的な事象において看護の知識を統合し活用できる判断能力を問う」が挙げられます。どのような形式で出題されるのかはっきりとはわかりませんが、第106回でこの目標Ⅳを意識したと思われる問題が出題されていたのでコチラで紹介します。

新出題基準を意識したと思われる第106回の問題

午前120番

Aさん(70歳、男性)は、妻と長男との3人暮らしである。左被殻出血で入院し、歩行訓練および言語訓練のリハビリテーションを行い自宅に退院した。退院時の検査所見は、HDLコレステロール40mg/dL、LDLコレステロール140mg/dL、トリグリセリド150mg/dLであった。
退院後、週1回の訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、血圧は降圧薬の内服で130/80 mmHgであった。右片麻痺、麻痺側の感覚障害、運動性失語があり、一本杖や手すりを利用して自宅内を移動していた。Aさん宅は、酒屋を自営しており、1階は店舗、トイレおよび浴室、2階に居室がある。各階の移動は手すりのあるらせん状階段のみで、階段昇降機の取り付けは構造上できない。Aさんは「店に出て親しい客に会うのが楽しみだ」と話した。
訪問看護計画に取り入れる内容で最も優先度が高いのはどれか。

1.言語訓練
2.食事指導
3.内服薬の管理
4.排便コントロール
5.階段を昇降する練習 正解:5

分析

長文を読解し、そこから得られた情報をもとにして優先度の高いものを選択する問題でした。設問を読むと、疾患の情報だけではなく検査値や居住環境、患者とのコミュニケーションなどたくさんの要素が含まれていることがわかります。正答率は69.4%と中程度の難易度でした。

各選択肢の出題分野と優先度の判断基準を以下に記しますが、「成人看護学」や「老年看護学」、「在宅看護論」などのさまざまな知識を統合して優先度を判定しなければならないことがわかります。

該当分野 優先度の判断基準
選択肢1 成人看護学 運動性失語ではあるものの、Aさんがコミュニケーションをとれているという状況から言語訓練の必要性を判断する。
選択肢2 成人看護学 HDLコレステロールなどの検査値から異常値かどうかを判断し、食事指導の必要性を検討する。
選択肢3 在宅看護論
老年看護学
降圧剤で血圧をコントロールしていることを読み取り、内服薬の管理の必要性を判断する。
選択肢4 在宅看護論 トイレの位置などの住居環境をもとに排便コントロールの必要性を判断する。
選択肢5 在宅看護論 Aさんの生活習慣・住居環境をもとに転倒リスクが高いことをアセスメントし、階段を昇降する練習の必要性を判断する。

第107回国試では本問のような複雑な状況を設定し、複数分野の知識を統合して解答する問題が増えていくことが予想されます。そのためにはそれぞれの分野の知識をしっかり身に付けておくことが前提です。

出題基準が変わったからといって過去問題演習よりも有効な勉強法が出てくるわけではありません。ただ単に問題演習をすればいいという勉強法からは卒業し、周辺知識まで含めたより厚みのある勉強法が重要となるでしょう。
過去問題集『クエスチョン・バンク』なら、1問の過去問から多くの知識を学ぶことができます。詳細はコチラ

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平成30年版 看護師国家試験出題基準を徹底分析

国試対策
2017.07.11

「保健師助産師看護師国家試験出題基準 平成30年版(以下、「新出題基準」)」が2017年3月30日に厚生労働省から発表されました。本記事では、追加・削除された項目や注目すべき新項目を分野別にすべて列挙し、新出題基準を徹底分析します。


この記事のまとめ
  • 追加・削除された項目数を分野別に比較すると、「母性看護学」「看護の統合と実践」の追加が多く、具体化が進められたことが伺える
  • 第106回国家試験の問題をみると、新出題基準を想定して作られたと思われる問題(詳細はコチラ)があるため、第107回対策として過去問演習が有効である
  • 「成人看護学」「老年看護学」「小児看護学」において経過別の項目が充実したことから、今後、出題数が増加する可能性が高い
  • 「看護の統合と実践」に追加された「複合的な事象において看護の知識を統合し活用できる判断能力を問う」という項目は、今まで以上にたくさんの知識を理解しておかないと正答できないことが予想される。このため、過去問をただ解くだけでなく、周辺知識もしっかりおさえる必要がある

追加・削除された項目数

新出題基準と旧出題基準を比較し、追加・削除された項目数に着目して分析を行いました。

注目したいのは、追加と削除の差が大きい分野です。特に「看護の統合と実践」は前回の出題基準では小項目が明記されていませんでしたが、出題基準の内容が具体化され、追加項目が多くなっています。
また、「母性看護学」は追加項目が圧倒的に多く、内容の具体化・充実が図られました。一方で、「精神看護学」は項目の増減がほぼないことから、大きな内容の変化がなかったことが伺えます。

各分野での改訂ポイント

必修問題

厚生労働省:改訂概要
●他科目との整合性を踏まえて具体的な用語を見直したほか、基本的な臨床検査値の評価、輸液・輸血管理の基本などについて項目を追加し、災害看護の項目を削除した。

改定概要に加えて、以下のような改定が行われています。

  1. 旧出題基準の中項目「看護倫理」が新たな中項目「倫理原則」「看護師等の役割」に具体化
  2. 看護活動の場として学校・企業を追加
  3. 保健師助産師看護師の義務として、新たに「業務従事者届け出の義務」「臨床研修等を受ける努力義務」を追加
  4. 旧出題基準の中項目「関係職種との連携」が「看護の機能と役割」に変化。さらに訪問看護や退院調整などの地域看護を意識した小項目に整理

人体の構造と機能

厚生労働省:改訂概要
●他職種と共通の知識体系が築けるよう、基礎医学教育における体系や用語との整合性を踏まえて、全体について改めて項目を整理した。

項目の整理がメインで行われ、以前の出題基準と比べるとわかりやすくなった印象です。ただ、以下の表に挙げる項目に関しては新規で追加されたので注意しておきましょう。

疾病の成り立ちと回復の促進

厚生労働省:改訂概要
●疾病の予防、及び近年の状況を踏まえた再生医療や薬剤耐性<AMR>などの項目を追加し、疾病に対する医療について項目を整理した。
●基礎医学教育における体系や用語との整合性を踏まえ、各機能別の障害について、改めて項目を整理した。また、アナフィラキシーショック・敗血症等の全身性の障害や精神機能の障害について、項目を追加した。

改定概要に加え、以下のような改定が行われました。

  1. 旧出題基準では具体的な疾患名が明記されていなかったが、今回の改定で具体化が進み、疾患名が例示された。
    [【例】旧:視覚障害→新:視覚障害(白内障、緑内障、網膜剥離、網膜症)]
  2. 精神機能の障害について、大〜小項目が追加された。ただし、「精神看護学」の大項目「2.主な精神疾患・障害の特徴と看護」とほぼ同様の内容となっている。

健康支援と社会保障制度

厚生労働省:改訂概要
●社会背景や看護を取り巻く状況と課題について、近年の状況を踏まえて具体的な項目を追加するとともに、社会保険及び社会福祉に関する法や施策と制度、公衆衛生や健康支援に係る項目について体系的な整理を行った。

改定概要にもある通り、近年の社会背景を踏まえて項目が追加されました。具体的には以下のようなキーワードです。

  • 少子化、晩婚化、晩産化
  • マイナンバー制度
  • 地域包括ケアシステム

また、第106回で新出題基準を意識したと思われる問題が出題されていたので紹介します。

基礎看護学

厚生労働省:改訂概要
●「必修問題」や「看護の統合と実践」など他科目との重複内容について全体的に整理し、輸液・ 輸血管理、保健・医療・福祉における連携など、基礎的かつ重要な項目について追加した。

必修問題で新たに追加された項目(輸液・輸血管理に関する小項目「輸液ポンプ、シリンジポンプ」「輸液」や看護の機能と役割に関する中項目「看護の機能と役割」が「基礎看護学」でも改めて追加されました。

また、旧出題基準では5つの小項目だった内容が、新出題基準で1つの小項目にまとめられたものもあります(下記)。このように、整理の過程で削除された小項目があることにも注意しておきましょう。

成人看護学

厚生労働省:改訂概要
●急性期、救急・クリティカルケア、周手術期、慢性期、セルフケア・社会的支援の獲得、リハビリテーションなど、各期における看護の基本について、体系を整理した。
●各機能障害のある患者については、アセスメント/検査・処置/治療/看護を体系的に問うことができるよう、項目を整理し具体的に明示した。

追加された項目は多くはありませんが、以下に挙げるように目標に関しては大きな変更があり、体系的に学習できるように項目が整理されました。

このような体系的な項目の整理によって、弊社書籍の『レビューブック』と同じ構成になりました。弊社で考える学びやすさと新出題基準が一致した結果で、第107回対策においても効果的に使える書籍であることが改めて証明されました

老年看護学

厚生労働省:改訂概要
●様々な健康状態・受療状況・生活の場に応じた高齢者への看護、高齢者に特有な症状・疾患・障害への看護について、体系的に問うことができるよう、項目を整理・追加した。

「成人看護学」での改定と連動して、経過別(急性期、慢性期、回復期、エンド・オブ・ライフ・ケア)の看護の理解が求められるようになりました。

また、目標Ⅲに大きな変化がありました。旧出題基準では「保健医療福祉制度における看護の役割について基本的な理解を問う。」となっていましたが、新出題基準では「多様な生活の場で高齢者の健康を支える看護について基本的な理解を問う。」に変化しました。具体的にみてみると、従来の施設サービス・居宅サービスに関連する項目に、「高齢者に特徴的な災害時の看護(9-Ⅰ-小項目a〜c)」などが追加されています。

小児看護学

厚生労働省:改訂概要
●子どもの成長・発達の特徴や生活に応じた、子どもと家族への支援について、項目を整理・追加した。
●疾患に対する子どもの理解と説明やプレパレーション、診療・入院等が子どもと家族に与える影響、多様な状況にある子どもと家族への支援などについて、項目を整理・追加した。

旧出題基準の目標Ⅱ「健康障害のある小児と家族が生活・療養するための看護について基本的な理解を問う」が3つに分割され、目標Ⅱ「病気や診療・入院が子どもと家族へ与える影響と看護について基本的な理解を問う。」、目標Ⅲ「特別な状況にある子どもと家族への看護について基本的な理解を問う。」、目標Ⅳ「健康課題をもつ子どもと家族への看護について基本的な理解を問う。」として独立しました。

これに対応し、目標Ⅲでは中項目「虐待を受けている子どもと家族への看護」が新規で追加されており、目標Ⅳでは「成人看護学」「老年看護学」と同様、経過別に項目が整理されています。

母性看護学

厚生労働省:改訂概要
●リプロダクティブヘルス、ウィメンズヘルス、妊娠・分娩・産褥・早期新生児期の各期における看護に必要な基本的事項、周産期医療システムなどについて、体系的に項目を整理・追加した。
●特に、性の多様性、生殖補助医療、出生前診断等における倫理的課題、及び暴力・虐待等の防止など、女性の理解や看護に必要となる近年の社会背景を踏まえた具体的な項目を追加した。

追加された項目が最も多く、一方で削除された項目が少ない分野です。そのため、旧出題基準と比較して大幅に具体化が進んだ分野といえます。

厚生労働省の改定概要に加えて以下のような改定が行われました。

  • 中項目「看護の基盤となる概念」が追加され、「ウェルネス」「エンパワメント」「ヘルスプロモーション」といった小項目が追加された。
  • 目標Ⅳ「周産期医療のシステムと母子保健施策の活用についての基本的な理解を問う」が新設され、これに対応して旧出題基準でみられなかった中項目「周産期医療のシステム」が追加された。

精神看護学

厚生労働省:改訂概要
●精神看護の対象となる主な疾患・障害の特徴と看護について、症状/検査/薬物療法などを体系的に問うことができるよう、項目を整理し具体的に明示した。併せて、生物・心理・社会的側面に注目した支援についても項目を整理した。

追加・削除された項目数が一番少なく、旧出題基準から大きな変更はありませんでした。
目標Ⅱ「主な精神疾患・障害の特徴と看護について基本的な理解を問う」が新設され、旧出題基準で小項目だった「精神疾患・障害」が大項目に整理され、具体化されました。疾患についての知識がより重要視されたようです。
「性同一性障害」「レジリエンス」「心理的教育アプローチ」「電気けいれん療法」「多職種連携と看護の役割」などの項目が追加されている点に注目しておきましょう。

在宅看護論

厚生労働省:改訂概要
●小児・認知症・精神疾患・難病等の特徴的な状況にある在宅療養者、及び医療管理を必要とする在宅療養者への看護について、体系的に問うことができるよう、項目を整理・追加した。
●療養の場の移行や地域包括ケアシステムにおける多職種連携と看護について、項目を整理・追加した。

追加された大項目・中項目の数が「老年看護学」に次いで多い分野となりました。
また、目標Ⅲ「地域包括ケアシステムにおける在宅看護の位置付けと看護の役割について基本的な理解を問う。」が新設され、他の分野(「健康支援と社会保障制度」「老年看護学」「看護の統合と実践」)でも小項目として扱われている地域包括ケアシステムの重要度が高まっていることが伺えます。

中項目では「災害時における在宅療養者と家族の健康危機管理」「急性期にある療養者」などが追加されている点に注目しておきましょう。

看護の統合と実践

厚生労働省:改訂概要
●複数科目の知識を統合する能力を問うことや、多重課題や集団としてのアプローチに必要な広い知識を統合する能力を問うことなど、複合的な事象において、より臨床実践に近い形で知識・技術を統合して判断する能力を問う出題内容となるよう、大・中・小項目を新たに作成し、全体の見直しを図った。
●災害と看護、及び国際化と看護について、小項目を新たに作成した。看護におけるマネジメントについては、「基礎看護学」との重複内容を整理するとともに小項目を新たに作成し、保健・医療・福祉の機能分化と連携や人材育成・活用などの項目を追加した。

旧出題基準では中項目までしか明記されておらず具体性に欠けていましたが、今回の改定で小項目が追加され、国試で出題される項目が鮮明になりました。また、旧出題基準でみられた他分野との重複も整理されています。

中項目では「人材育成・活用」「看護政策と行政」「国際社会における看護の対象」などが新規で追加されたため注目しておきましょう。

一番大きく変わったポイントとして、目標Ⅳ「複合的な事象において看護の知識を統合し活用できる判断能力を問う」が挙げられます。どのような形式で出題されるのかはっきりとはわかりませんが、第106回でこの目標Ⅳを意識したと思われる問題が出題されていたのでコチラで紹介します。

新出題基準を意識したと思われる第106回の問題

午前120番

Aさん(70歳、男性)は、妻と長男との3人暮らしである。左被殻出血で入院し、歩行訓練および言語訓練のリハビリテーションを行い自宅に退院した。退院時の検査所見は、HDLコレステロール40mg/dL、LDLコレステロール140mg/dL、トリグリセリド150mg/dLであった。
退院後、週1回の訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、血圧は降圧薬の内服で130/80 mmHgであった。右片麻痺、麻痺側の感覚障害、運動性失語があり、一本杖や手すりを利用して自宅内を移動していた。Aさん宅は、酒屋を自営しており、1階は店舗、トイレおよび浴室、2階に居室がある。各階の移動は手すりのあるらせん状階段のみで、階段昇降機の取り付けは構造上できない。Aさんは「店に出て親しい客に会うのが楽しみだ」と話した。
訪問看護計画に取り入れる内容で最も優先度が高いのはどれか。

1.言語訓練
2.食事指導
3.内服薬の管理
4.排便コントロール
5.階段を昇降する練習 正解:5

分析

長文を読解し、そこから得られた情報をもとにして優先度の高いものを選択する問題でした。設問を読むと、疾患の情報だけではなく検査値や居住環境、患者とのコミュニケーションなどたくさんの要素が含まれていることがわかります。正答率は69.4%と中程度の難易度でした。

各選択肢の出題分野と優先度の判断基準を以下に記しますが、「成人看護学」や「老年看護学」、「在宅看護論」などのさまざまな知識を統合して優先度を判定しなければならないことがわかります。

該当分野 優先度の判断基準
選択肢1 成人看護学 運動性失語ではあるものの、Aさんがコミュニケーションをとれているという状況から言語訓練の必要性を判断する。
選択肢2 成人看護学 HDLコレステロールなどの検査値から異常値かどうかを判断し、食事指導の必要性を検討する。
選択肢3 在宅看護論
老年看護学
降圧剤で血圧をコントロールしていることを読み取り、内服薬の管理の必要性を判断する。
選択肢4 在宅看護論 トイレの位置などの住居環境をもとに排便コントロールの必要性を判断する。
選択肢5 在宅看護論 Aさんの生活習慣・住居環境をもとに転倒リスクが高いことをアセスメントし、階段を昇降する練習の必要性を判断する。

第107回国試では本問のような複雑な状況を設定し、複数分野の知識を統合して解答する問題が増えていくことが予想されます。そのためにはそれぞれの分野の知識をしっかり身に付けておくことが前提です。

出題基準が変わったからといって過去問題演習よりも有効な勉強法が出てくるわけではありません。ただ単に問題演習をすればいいという勉強法からは卒業し、周辺知識まで含めたより厚みのある勉強法が重要となるでしょう。
過去問題集『クエスチョン・バンク』なら、1問の過去問から多くの知識を学ぶことができます。詳細はコチラ

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