[著者紹介]
ベテランナース M.U ナース歴17年、救急から慢性期まで多くの経験を持ち、新人や学生の指導役も 務めたベテランナース。米国看護師試験NCLEXにも合格。気を抜くと関西弁になる。
こんにちは、M.Uです。実習生や新人看護師がつまづきやすいポイントを解説します! 前編につづき、COPD患者さんへの看護について書きたいと思います。 今回の記事を踏まえて、COPDの病態をよく理解して実習に臨みましょう!
看護学生Aさんは、COPDの患者さんを担当した際、患者さんの動作時に情報収集のため何度か話しかけたところ、「苦しい、迷惑だ」と言われてしまった。 その後、その患者さんとうまくコミュニケーションがとれなくなってしまった。
COPDの病態を理解しましょう。動作時は酸素消費量も多くそれだけで呼吸困難があります。このときに話しかけてしまうと状態がさらに悪化します。 患者さんによっては実習生の力になろうと頑張って話してくれる方もいますが、呼吸状態を観察したうえでタイミングを見て話しかけるようにしましょう。
COPD患者のAさんは呼吸リハビリテーションとして運動療法を行っていた。 ある日Aさんは新人看護師Bさんに 「呼吸が苦しいと言っているのになぜ筋力をつけないといけないのか? こんなことをして呼吸が楽になるならやるけど」と言った。 Bさんは呼吸リハビリテーションを行わなければならない理由がはっきり答えられず、Aさんの発言に同調してしまった。 その後呼吸リハビリテーションを中止してはどうかと先輩看護師に提案した。
COPD患者が呼吸リハビリテーションを行う目的としては呼吸困難の軽減や心身の機能の改善、ADLの改善などがあげられます。 特に、今回の事例で実施されている運動療法は呼吸リハビリテーションにおける中心的なプログラムであり、身体の活動性を上げることで、息切れの悪循環を断ち切り、息苦しさなどの改善につながります。 また、慢性閉塞性肺疾患理学療法診療ガイドラインによると、呼吸練習や排痰法などよりも効果的とされています。 このことを踏まえて、むやみに患者さんに同調するのではなく、行っている治療やリハビリに対して,なぜそれが必要なのかを説明できるようにしておきましょう。
これは非常に大切なことなので、国試でも問われています!
次の文を読み問いに答えよ。 (第100回看護師国試 午前53番) 肺気腫pulmonary emphysemaの患者への日常生活の指導で適切なのはどれか。 1.胸式呼吸 2.水分の制限 3.低カロリー食の摂取 4.下肢の筋力トレーニング
解答:4 ×1 腹式呼吸を指導する。 ×2 心不全の有無なども考慮しなければならないが、一般的には水分を補給して喀痰の粘稠化を防ぐ。 ×3 体重減少に伴う呼吸筋力の低下を防ぐためにも、十分なエネルギーを摂取して痩せを防ぎ、必要な体力を維持する。 ○4 下肢の筋力トレーニングは、乳酸の産生を減少させ、呼吸苦や運動耐容能が改善される。筋力をつけることで、QOLや生存率の改善も認められている。
次回は、統合失調症患者編を配信します!
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