書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』(以下、『看みえ④』)の事例解説を読んで、レポート用紙に実際にアセスメントを書くときはどうしたらいいの?と困ってしまった方、必見です! ここでは、Yさんの役割-関係パターンのアセスメント(『看みえ④』p.213)の書き方を紹介します。この記述例と解説をもとに、誰がみてもわかりやすい、かつ過不足のないアセスメントの書き方を学んでいきましょう。 Yさんの健康知覚-健康管理パターンのアセスメントの記述例 Yさんの睡眠-休息パターンのアセスメントの記述例
Yさんは、20歳の大学生、原発性自然気胸で胸腔ドレナージ治療中の入院3日目の患者さんです。アセスメントの前に情報をみておきたい人は、『看みえ④』p.212をみるか、こちらで確認しておきましょう。
※疾病・治療による役割への影響に関する情報のうち,地域での役割と関係に関する情報はない.
アセスメントの記述は、内容によって色分けしています。
大きく2つの視点に分けて記述したときの例を示します。スクロールすると、それぞれの記述のポイントを解説しているので、それも必ずチェックしましょう!(PCの方は、解説アイコンをタップすると直接解説に飛びます)
それでは、Yさんの役割-関係パターンのアセスメントの記述例と解説をみていきましょう。
まずは、『看みえ④』で示している役割-関係パターンのアセスメントの視点を確認しましょう。この視点で考えると、アセスメントの方向性(結論)が定まり、アセスメントが書きやすくなりますよ!はじめてアセスメントを書く場合、まず右側の「アセスメント項目」(赤字部分)ごとに書いていきましょう。
※Yさんは大学生のため、「職場での役割と関係は適切か」を、「学生生活での役割と関係は適切か」に置き換えています。
記述の最初に、「アセスメント項目」(黄緑下線)を示すと何について書かれているのかわかり読みやすくなります。ここだけでなく、すべての「アセスメント項目」においても同様です。
まずは解釈の記述です。解釈では、「Yさんは適切に他者との関係を築けるか」という視点で、Yさんの状態をとらえます。適切か/適切でないか、また、意欲・願望を示すのか、解釈したことを具体的に書きましょう(緑下線)。また、解釈の根拠となった情報(青下線)を必ず書きましょう。情報の記述がないと、なぜそのように考えたのか他の人には伝わりません。
次になりゆきを推論した結果を記述します。現在みられるYさんの「適切な関係構築」が、今後どうなるのか具体的に書きましょう(オレンジ下線)。 ※分析(原因、誘因・強み・なりゆきを明らかにすること)のうち、原因・強みについての記載はありませんが、基本的には「解釈」の結果が適切でも不適切でも、原因、誘因・強みの分析は行います(不適切だった場合は、必ず原因への言及が必要です)。今回の事例では、特に目立った原因・強みがみられていないため記述していません。 全体の記述例へ戻る
もれなくデータ収集することは大切ですが、一度にすべてのデータを収集することは難しいです。現在のYさんの状態を解釈する時点で、情報が不足していて追加のデータ収集もできない場合は、無理に根拠のない解釈を書こうとせず、情報不足の旨を書きましょう。もちろん追加のデータ収集ができる場合は、データ収集を行い解釈・分析することでYさんの状態をより理解できます。
次に、なりゆきを推論した結果を記述します。情報は不足しているものの現在みられるYさんの「家庭での役割と関係」が、今後どうなるのか推論できる範囲で書きましょう(オレンジ下線)。 ※「他者との関係の成立」の分析と同様、「家庭での役割と関係」の分析において、今回の事例では、特に目立った原因・強みがみられていないため記述していません。 全体の記述例へ戻る
解説①・②をふまえ、記述の最初に「アセスメント項目」(黄緑下線)を書き、「Yさんの学生生活での役割と関係は適切か」という視点でとらえたYさんの状態を書きましょう(緑下線)。ここでも、解釈の根拠となる情報(青下線)を忘れないでください。
解説③・⑤と同様に、なりゆきを推論した結果を記述します。現在みられるYさんの「学生生活での役割と関係」が、今後どうなるのか具体的に書きましょう(オレンジ下線)。 ※「他者との関係の成立」の分析と同様、「学生生活での役割と関係」の分析において、今回の事例では、特に目立った原因・強みがみられていないため記述していません。 全体の記述例へ戻る
解説④と同様、現在のYさんの状態を解釈する時点で、情報が不足していて追加のデータ収集もできない場合は、無理に根拠のない解釈を書こうとせず、情報不足の旨を書きましょう。もちろん追加のデータ収集ができる場合は、データ収集を行い解釈・分析することでYさんの状態をより理解できます。 全体の記述例へ戻る この記事を読んで、アセスメントが書けそうかもと少しは思えましたか? アセスメントを苦手と感じる人は多いですが、何をどんなふうに考えて、書けばよいのかわかれば難しいことはありません。『看みえ④』とともに、アセスメントの核となる「人間の反応」の解釈・分析をマスターして、看護過程を楽しく学んでいきましょう。
●看護過程で考える「人間の反応」とは何ですか? ●看護過程におけるアセスメントとは何ですか? ●Yさんの健康知覚-健康管理パターンのアセスメントの記述例 ●Yさんの睡眠-休息パターンのアセスメントの記述例
●「人間の反応」とは何か?→p.12 ●「人間の反応」の解釈について知りたい→p.92 ●「人間の反応」の分析について知りたい→p.95 ●原因・誘因の分析、強みの分析の手順を知りたい→p.96 ●なりゆきの分析について知りたい→p.99 ●Yさんについて知りたい(事例紹介)→p.169〜178 ●Yさんのアセスメントについて知りたい→p.190〜221 「アセスメントの書き方一覧」へ戻る
第1版 B5判 380頁 定価(本体3,300円+税) ISBN 978-4-89632-801-1 発行日 2020-06-30
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