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アセスメントの書き方の基本

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アセスメントの書き方の基本
『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』アセスメントの書き方
2020.08.11

アセスメントの書き方の基本

ここでは、アセスメントをどうやって書いたらよいか、その書き方と具体例を解説しています。次の4つの項目を順番に書いていけば、アセスメントに必要なことをもれなく書いていくことができます。具体例を参考にしながら、一緒に学んでいきましょう!


手順1の解説
手順2の解説
手順3の解説
手順4の解説

 
※アセスメントを書くのが苦手な方は、コチラも参考にどうぞ!↓
・アセスメントの書き方のよくある間違い

 
※動画でも解説しています!↓

 

手順1 「アセスメントの視点」でみた「患者さんの反応」の解釈結果を書く

書き方の解説

 
まずは、書き出しに「アセスメント項目」を書きます。「アセスメント項目」とは、書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』で示した、ゴードンの11の機能的健康パターンヘンダーソンの14の基本的欲求を使ったアセスメントの視点に含まれる具体的なアセスメント項目です。文のはじめに「アセスメント項目」を書くと、これから書こうとするアセスメントの方向性(結論)が定まるだけでなく、読み手となる先生や指導者さんにも、この文章で伝えたいことは何かがすぐ伝わります。

「アセスメント項目」を知りたい方はコチラをクリック!

ゴードンの11の機能的健康パターンの「アセスメントの視点」と「アセスメント項目」

アセスメントの枠組み項目 アセスメントの視点 より具体的なアセスメントの視点 ※赤字はアセスメント項目
1.健康知覚-健康管理 健康知覚(健康に関する認識)は適切か これまでの健康に関する認識は適切か
現在の健康に関する認識は適切か
健康管理は適切か 健康管理状況は適切か
安全対策は適切か
2.栄養-代謝 栄養摂取は適切か 食習慣は適切か
栄養摂取量は適切か
水分摂取量は適切か
摂食・嚥下の状態は適切か
身体各部での栄養の利用(代謝)は適切か 栄養状態は適切か
皮膚状態は適切か
免疫状態は適切か
3.排泄 便の排泄は適切か 排便習慣は適切か
排便の状態は適切か
尿の排泄は適切か 排尿習慣は適切か
排尿の状態は適切か
汗の排泄は適切か 汗の状態は適切か
4.活動-運動 身体活動は適切か 身体活動状況は適切か
活動耐性は適切か
運動習慣は適切か
日常生活活動(ADL)は自立しているか ADLは自立しているか
余暇活動は適切か 余暇活動は適切か
5.睡眠-休息 睡眠・休息・リラクゼーションは適切か 睡眠習慣・状態は適切か
休息・リラクゼーションは適切か
6.認知-知覚 感覚機能は適切か 感覚機能は適切か
認知機能は適切か 記憶力・注意力は適切か
言葉の理解と表現は適切か
意思決定はできるのか
学習能力・知識は適切か
不快症状はどうか 疼痛はどうか
その他の不快症状はどうか
7.自己知覚-自己概念 自己概念はどうか アイデンティティはどうか
ボディイメージはどうか
自尊感情はどうか 自尊感情はどうか
感情の状態はどうか 感情の状態はどうか
8.役割-関係 適切に他者との関係を築けるか 適切に他者との関係を築けるか
疾病・治療による役割への影響はどうか 家庭での役割と関係は適切か
職場での役割と関係は適切か
地域での役割と関係は適切か
9.セクシュアリティ-生殖 生殖機能・セクシュアリティはどうか 生殖機能の状態はどうか
セクシュアリティはどうか
10.コーピング-ストレス耐性 ストレスとストレス耐性の関係はどうか ストレスとストレス耐性の関係はどうか
コーピングは適切か コーピング方法は適切か
サポートシステムは適切か
11.価値-信念 価値観・信念は守られているか 価値観・信念は守られているか


※参考文献
『看護診断-その過程と実践への応用 原著第3版』(1998、医歯薬出版)
『ヘンダーソン・ゴードンの考えに基づく 実践看護アセスメント 第3版』(2011、ヌーヴェルヒロカワ)
※書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』と表記を合わせるため一部変更(2020.08.24)

 
 
そして、「アセスメントの視点」に基づいて集められた患者さんの情報から、その視点でみた「患者さんの反応(人間の反応※)」が適切か、適切でないかを書きましょう。その際、①一般的な理想の状態と比べて逸脱していないかだけでなく、②その人にとって適切なのかを考えることも大切です。例えば、1日の水分摂取量が500mLは、①一般的には少ないですが、②腎不全で透析を導入し水分制限が必要な患者さんにとっては適切となります。このような場合には、「一般的には理想的ではないが〇〇さんにとっては適切と考えられる」などと記載しましょう。
ここで不適切としたものが、実在型問題(看護師が原因に介入できるなら看護問題)となります。また、もし、「アセスメントの視点」でみた「患者さんの反応(人間の反応)」に、意欲・願望がみられれば、それも書いておきましょう。
 
※「人間の反応」の詳細を知りたい方はこちら↓
 ・看護過程で考える「人間の反応」とは何ですか?

具体的な記述例 その①

解説
解釈の根拠となる情報は、1つではなくなるべく複数挙げるようにしましょう。また、この書き方の基本形で使われている「適切/適切でない+向上させたいという意欲・願望」という言葉をそのまま使う必要はありません。患者さんの反応が適切か適切でないかが伝わる文章であれば大丈夫です。
 

具体的な記述例 その②

解説
1つのアセスメントの視点でとらえた「患者さんの反応(人間の反応)」に、適切な部分と適切でない部分が混在していることがよくあります。その場合には、どの部分は適切で、どの部分が適切でないかがわかるように書きましょう。また、集めた情報を総合的に考え、解釈結果を書きましょう。
 
※より詳しく知りたい方はコチラをご参照ください。↓
・アセスメントの視点ごとに解釈する際、1つの「人間の反応」に適切な部分と適切でない部分が両方あったらどうすればいいですか?

 

手順2 その「患者さんの反応」となった「原因・誘因」を書く

書き方の解説

次に、手順1の「患者さんの反応(人間の反応)」を引き起こした「原因」と、その反応を間接的に助長している「誘因」を書きます。特に実在型問題がある場合、「原因・誘因」に対して看護介入を行うため必ず書くようにしましょう。
「原因・誘因」は、手順1の「アセスメントの視点」で集めた情報だけでなく、患者さんのあらゆるすべての情報から探しましょう。そのなかにはもちろん、基礎情報や他の「アセスメントの視点」で集めた情報も含まれます。また、「原因・誘因」は1つとは限らず、複数ある場合もあります。

具体的な記述例

 

手順3 その「患者さんの反応」を改善する「強み」になることがあれば書く

書き方の解説

解釈結果が適切か適切でないかに関わらず、手順1の「患者さんの反応(人間の反応)」を改善・促進・維持するような、患者さんの「強み」があれば書きます。「強み」は看護計画を立てるときに使うため、このときに見つけておきましょう。「強み」は、手順2と同様に、手順1の「アセスメントの視点」で集めた情報だけでなく、あらゆる基礎情報や他のアセスメントの視点の情報からも探すようにしましょう。また、「強み」は1つとは限らず、複数ある場合もあります。

具体的な記述例

 

手順4 その「患者さんの反応」の「なりゆき」を推論した結果を書く

書き方の解説

最後に、手順1で明らかになった「患者さんの反応」が、今後どのような経過をたどるのか、また他の「患者さんの反応(人間の反応)」にどのような影響を与えるかを推論して書きます。なりゆきは、手順1で解釈した結果によって次のようなパターンがあります。
 

A 解釈の結果、「患者さんの反応」が適切である場合
B 解釈の結果、実在型問題がある場合
C 解釈の結果、意欲・願望があると分かった場合

A 解釈の結果、「患者さんの反応」が適切である場合


手順1で解釈した現在の適切な「患者さんの反応(人間の反応)」を、今後悪化させるおそれのある危険因子があるかどうか推論します。危険因子は、これまで同様患者さんのあらゆる情報から探しましょう。また、この時、その患者さんの疾患の経過や、今後受ける治療による合併症などのことも考慮する必要があります。危険因子がある場合には、「リスク型問題」として書きます。

A-1 危険因子がない場合
A-2 危険因子がある場合(リスク型問題)
 

B 解釈の結果、実在型問題がある場合


①現在みられている実在型問題が、何らかの増悪因子により将来さらに悪化するおそれがあるかどうか②その問題が他のアセスメントの視点でみた「患者さんの反応(人間の反応)」や、他の機能的健康パターンでみた「患者さんの反応(人間の反応)」に悪い影響を与えるおそれはないか、という2つの推論を行います。

①経過の推論

B-1 現在みられる実在型問題が継続/改善する場合
B-2 現在みられる実在型問題がさらに悪化する場合

②他の「患者さんの反応」への影響の推論

B-3 現在みられる実在型問題が他の適切な「患者さんの反応」に影響して危険因子となる場合
B-4 現在みられる実在型問題が他の実在型問題に影響して増悪因子となる場合
 

C 解釈の結果、意欲・願望があるとわかった場合


解釈結果が適切か適切でないかに関わらず、患者さんにみられる意欲・願望が、将来行動につながり、現在の状態が促進される可能性がある場合には「ヘルスプロモーション型問題」として書きます

 
C-1 意欲・願望により「患者さんの反応」が促進される可能性がない場合
C-2 意欲・願望により「患者さんの反応」が促進される可能性がある場合
 

A 解釈の結果、「患者さんの反応」が適切である場合の書き方

A-1 危険因子がない場合

解説
将来の患者さんの状態を書く際は、どうしてその状態になるといえるのか、【継続する・悪化しない理由】に書かれているような根拠を挙げましょう。
 

A-2 危険因子がある場合(リスク型問題)

 

B 解釈の結果、実在型問題がある場合の書き方

B-1 現在みられる実在型問題が継続/改善する場合

解説
実在型問題の改善とは、将来、問題の原因が何らかの理由で解消・軽減されることを意味します。ただし、看護介入を行うことを理由に、原因が解消・軽減すると書くのは誤りです。例えば、「入眠困難は睡眠薬を使用していくことから、今後、改善していく」、「入眠困難は原因である不安な思いを傾聴(看護介入)することによって、今後改善していく」などと記載しないよう注意しましょう。
また、最後に継続/改善する実在型問題を、問題として取り上げるかどうかがわかるように書くと、看護介入の必要性の有無を明確にすることができます。例えば、この例では「本日退院予定であり、退院後改善することから問題には挙げない」、「明日退院予定であり、本日夜間は問題として挙げる」などと補足するとよいでしょう。
 

B-2 現在みられる実在型問題がさらに悪化する場合

 

B-3 現在みられる実在型問題が他の適切な「患者さんの反応」に影響して危険因子となる場合

補足
この例の睡眠時無呼吸症候群のように、挙げられた問題によっては、看護師だけでなく医師やその他の職種の介入を必要とする場合があります。その場合には、「この問題には医師の介入が必要であるため、協働問題である。」などと補足すると良いでしょう。
 
※協働問題について詳しく知りたい方はコチラ↓
・看護における協働問題と共同問題とは?

 

B-4 現在みられる実在型問題が他の実在型問題に影響して増悪因子となる場合

 

C 解釈の結果、意欲・願望がある場合の書き方

C-1 意欲・願望により「患者さんの反応」が促進される可能性がない場合

 

C-2 意欲・願望により「患者さんの反応」が促進される可能性がある場合

おわりに

最後までこの記事を読んでくださり、ありがとうございました!
アセスメントを書けるようになると、自信を持って患者さんをみることができるので、看護が楽しくなります。ぜひ、4つの手順にならってアセスメントを書いてくださいね!

手順1 「アセスメントの視点」でみた「患者さんの反応」の解釈結果を書く
手順2 その「患者さんの反応」となった「原因・誘因」を書く
手順3 その「患者さんの反応」を改善する「強み」になることがあれば書く
手順4 その「患者さんの反応」の「なりゆき」を推論した結果を書く

 
※アセスメントを書くのが苦手な方は、コチラも参考にどうぞ!↓
・アセスメントの書き方のよくある間違い

 
「アセスメントの書き方一覧」へ戻る

 

看護がみえるvol.4 看護過程の展開

第1版 B5判 380頁
定価(本体3,300円+税)
ISBN 978-4-89632-801-1
発行日 2020-06-30

 

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アセスメントの書き方の基本

『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』アセスメントの書き方
2020.08.11

アセスメントの書き方の基本

ここでは、アセスメントをどうやって書いたらよいか、その書き方と具体例を解説しています。次の4つの項目を順番に書いていけば、アセスメントに必要なことをもれなく書いていくことができます。具体例を参考にしながら、一緒に学んでいきましょう!


手順1の解説
手順2の解説
手順3の解説
手順4の解説

 
※アセスメントを書くのが苦手な方は、コチラも参考にどうぞ!↓
・アセスメントの書き方のよくある間違い

 
※動画でも解説しています!↓

 

手順1 「アセスメントの視点」でみた「患者さんの反応」の解釈結果を書く

書き方の解説

 
まずは、書き出しに「アセスメント項目」を書きます。「アセスメント項目」とは、書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』で示した、ゴードンの11の機能的健康パターンヘンダーソンの14の基本的欲求を使ったアセスメントの視点に含まれる具体的なアセスメント項目です。文のはじめに「アセスメント項目」を書くと、これから書こうとするアセスメントの方向性(結論)が定まるだけでなく、読み手となる先生や指導者さんにも、この文章で伝えたいことは何かがすぐ伝わります。

「アセスメント項目」を知りたい方はコチラをクリック!

ゴードンの11の機能的健康パターンの「アセスメントの視点」と「アセスメント項目」

アセスメントの枠組み項目 アセスメントの視点 より具体的なアセスメントの視点 ※赤字はアセスメント項目
1.健康知覚-健康管理 健康知覚(健康に関する認識)は適切か これまでの健康に関する認識は適切か
現在の健康に関する認識は適切か
健康管理は適切か 健康管理状況は適切か
安全対策は適切か
2.栄養-代謝 栄養摂取は適切か 食習慣は適切か
栄養摂取量は適切か
水分摂取量は適切か
摂食・嚥下の状態は適切か
身体各部での栄養の利用(代謝)は適切か 栄養状態は適切か
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3.排泄 便の排泄は適切か 排便習慣は適切か
排便の状態は適切か
尿の排泄は適切か 排尿習慣は適切か
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汗の排泄は適切か 汗の状態は適切か
4.活動-運動 身体活動は適切か 身体活動状況は適切か
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日常生活活動(ADL)は自立しているか ADLは自立しているか
余暇活動は適切か 余暇活動は適切か
5.睡眠-休息 睡眠・休息・リラクゼーションは適切か 睡眠習慣・状態は適切か
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6.認知-知覚 感覚機能は適切か 感覚機能は適切か
認知機能は適切か 記憶力・注意力は適切か
言葉の理解と表現は適切か
意思決定はできるのか
学習能力・知識は適切か
不快症状はどうか 疼痛はどうか
その他の不快症状はどうか
7.自己知覚-自己概念 自己概念はどうか アイデンティティはどうか
ボディイメージはどうか
自尊感情はどうか 自尊感情はどうか
感情の状態はどうか 感情の状態はどうか
8.役割-関係 適切に他者との関係を築けるか 適切に他者との関係を築けるか
疾病・治療による役割への影響はどうか 家庭での役割と関係は適切か
職場での役割と関係は適切か
地域での役割と関係は適切か
9.セクシュアリティ-生殖 生殖機能・セクシュアリティはどうか 生殖機能の状態はどうか
セクシュアリティはどうか
10.コーピング-ストレス耐性 ストレスとストレス耐性の関係はどうか ストレスとストレス耐性の関係はどうか
コーピングは適切か コーピング方法は適切か
サポートシステムは適切か
11.価値-信念 価値観・信念は守られているか 価値観・信念は守られているか


※参考文献
『看護診断-その過程と実践への応用 原著第3版』(1998、医歯薬出版)
『ヘンダーソン・ゴードンの考えに基づく 実践看護アセスメント 第3版』(2011、ヌーヴェルヒロカワ)
※書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』と表記を合わせるため一部変更(2020.08.24)

 
 
そして、「アセスメントの視点」に基づいて集められた患者さんの情報から、その視点でみた「患者さんの反応(人間の反応※)」が適切か、適切でないかを書きましょう。その際、①一般的な理想の状態と比べて逸脱していないかだけでなく、②その人にとって適切なのかを考えることも大切です。例えば、1日の水分摂取量が500mLは、①一般的には少ないですが、②腎不全で透析を導入し水分制限が必要な患者さんにとっては適切となります。このような場合には、「一般的には理想的ではないが〇〇さんにとっては適切と考えられる」などと記載しましょう。
ここで不適切としたものが、実在型問題(看護師が原因に介入できるなら看護問題)となります。また、もし、「アセスメントの視点」でみた「患者さんの反応(人間の反応)」に、意欲・願望がみられれば、それも書いておきましょう。
 
※「人間の反応」の詳細を知りたい方はこちら↓
 ・看護過程で考える「人間の反応」とは何ですか?

具体的な記述例 その①

解説
解釈の根拠となる情報は、1つではなくなるべく複数挙げるようにしましょう。また、この書き方の基本形で使われている「適切/適切でない+向上させたいという意欲・願望」という言葉をそのまま使う必要はありません。患者さんの反応が適切か適切でないかが伝わる文章であれば大丈夫です。
 

具体的な記述例 その②

解説
1つのアセスメントの視点でとらえた「患者さんの反応(人間の反応)」に、適切な部分と適切でない部分が混在していることがよくあります。その場合には、どの部分は適切で、どの部分が適切でないかがわかるように書きましょう。また、集めた情報を総合的に考え、解釈結果を書きましょう。
 
※より詳しく知りたい方はコチラをご参照ください。↓
・アセスメントの視点ごとに解釈する際、1つの「人間の反応」に適切な部分と適切でない部分が両方あったらどうすればいいですか?

 

手順2 その「患者さんの反応」となった「原因・誘因」を書く

書き方の解説

次に、手順1の「患者さんの反応(人間の反応)」を引き起こした「原因」と、その反応を間接的に助長している「誘因」を書きます。特に実在型問題がある場合、「原因・誘因」に対して看護介入を行うため必ず書くようにしましょう。
「原因・誘因」は、手順1の「アセスメントの視点」で集めた情報だけでなく、患者さんのあらゆるすべての情報から探しましょう。そのなかにはもちろん、基礎情報や他の「アセスメントの視点」で集めた情報も含まれます。また、「原因・誘因」は1つとは限らず、複数ある場合もあります。

具体的な記述例

 

手順3 その「患者さんの反応」を改善する「強み」になることがあれば書く

書き方の解説

解釈結果が適切か適切でないかに関わらず、手順1の「患者さんの反応(人間の反応)」を改善・促進・維持するような、患者さんの「強み」があれば書きます。「強み」は看護計画を立てるときに使うため、このときに見つけておきましょう。「強み」は、手順2と同様に、手順1の「アセスメントの視点」で集めた情報だけでなく、あらゆる基礎情報や他のアセスメントの視点の情報からも探すようにしましょう。また、「強み」は1つとは限らず、複数ある場合もあります。

具体的な記述例

 

手順4 その「患者さんの反応」の「なりゆき」を推論した結果を書く

書き方の解説

最後に、手順1で明らかになった「患者さんの反応」が、今後どのような経過をたどるのか、また他の「患者さんの反応(人間の反応)」にどのような影響を与えるかを推論して書きます。なりゆきは、手順1で解釈した結果によって次のようなパターンがあります。
 

A 解釈の結果、「患者さんの反応」が適切である場合
B 解釈の結果、実在型問題がある場合
C 解釈の結果、意欲・願望があると分かった場合

A 解釈の結果、「患者さんの反応」が適切である場合


手順1で解釈した現在の適切な「患者さんの反応(人間の反応)」を、今後悪化させるおそれのある危険因子があるかどうか推論します。危険因子は、これまで同様患者さんのあらゆる情報から探しましょう。また、この時、その患者さんの疾患の経過や、今後受ける治療による合併症などのことも考慮する必要があります。危険因子がある場合には、「リスク型問題」として書きます。

A-1 危険因子がない場合
A-2 危険因子がある場合(リスク型問題)
 

B 解釈の結果、実在型問題がある場合


①現在みられている実在型問題が、何らかの増悪因子により将来さらに悪化するおそれがあるかどうか②その問題が他のアセスメントの視点でみた「患者さんの反応(人間の反応)」や、他の機能的健康パターンでみた「患者さんの反応(人間の反応)」に悪い影響を与えるおそれはないか、という2つの推論を行います。

①経過の推論

B-1 現在みられる実在型問題が継続/改善する場合
B-2 現在みられる実在型問題がさらに悪化する場合

②他の「患者さんの反応」への影響の推論

B-3 現在みられる実在型問題が他の適切な「患者さんの反応」に影響して危険因子となる場合
B-4 現在みられる実在型問題が他の実在型問題に影響して増悪因子となる場合
 

C 解釈の結果、意欲・願望があるとわかった場合


解釈結果が適切か適切でないかに関わらず、患者さんにみられる意欲・願望が、将来行動につながり、現在の状態が促進される可能性がある場合には「ヘルスプロモーション型問題」として書きます

 
C-1 意欲・願望により「患者さんの反応」が促進される可能性がない場合
C-2 意欲・願望により「患者さんの反応」が促進される可能性がある場合
 

A 解釈の結果、「患者さんの反応」が適切である場合の書き方

A-1 危険因子がない場合

解説
将来の患者さんの状態を書く際は、どうしてその状態になるといえるのか、【継続する・悪化しない理由】に書かれているような根拠を挙げましょう。
 

A-2 危険因子がある場合(リスク型問題)

 

B 解釈の結果、実在型問題がある場合の書き方

B-1 現在みられる実在型問題が継続/改善する場合

解説
実在型問題の改善とは、将来、問題の原因が何らかの理由で解消・軽減されることを意味します。ただし、看護介入を行うことを理由に、原因が解消・軽減すると書くのは誤りです。例えば、「入眠困難は睡眠薬を使用していくことから、今後、改善していく」、「入眠困難は原因である不安な思いを傾聴(看護介入)することによって、今後改善していく」などと記載しないよう注意しましょう。
また、最後に継続/改善する実在型問題を、問題として取り上げるかどうかがわかるように書くと、看護介入の必要性の有無を明確にすることができます。例えば、この例では「本日退院予定であり、退院後改善することから問題には挙げない」、「明日退院予定であり、本日夜間は問題として挙げる」などと補足するとよいでしょう。
 

B-2 現在みられる実在型問題がさらに悪化する場合

 

B-3 現在みられる実在型問題が他の適切な「患者さんの反応」に影響して危険因子となる場合

補足
この例の睡眠時無呼吸症候群のように、挙げられた問題によっては、看護師だけでなく医師やその他の職種の介入を必要とする場合があります。その場合には、「この問題には医師の介入が必要であるため、協働問題である。」などと補足すると良いでしょう。
 
※協働問題について詳しく知りたい方はコチラ↓
・看護における協働問題と共同問題とは?

 

B-4 現在みられる実在型問題が他の実在型問題に影響して増悪因子となる場合

 

C 解釈の結果、意欲・願望がある場合の書き方

C-1 意欲・願望により「患者さんの反応」が促進される可能性がない場合

 

C-2 意欲・願望により「患者さんの反応」が促進される可能性がある場合

おわりに

最後までこの記事を読んでくださり、ありがとうございました!
アセスメントを書けるようになると、自信を持って患者さんをみることができるので、看護が楽しくなります。ぜひ、4つの手順にならってアセスメントを書いてくださいね!

手順1 「アセスメントの視点」でみた「患者さんの反応」の解釈結果を書く
手順2 その「患者さんの反応」となった「原因・誘因」を書く
手順3 その「患者さんの反応」を改善する「強み」になることがあれば書く
手順4 その「患者さんの反応」の「なりゆき」を推論した結果を書く

 
※アセスメントを書くのが苦手な方は、コチラも参考にどうぞ!↓
・アセスメントの書き方のよくある間違い

 
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看護がみえるvol.4 看護過程の展開

第1版 B5判 380頁
定価(本体3,300円+税)
ISBN 978-4-89632-801-1
発行日 2020-06-30

 

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