データ収集の後、データをアセスメントの枠組みのどこに分類したらいいのかわからなくなる看護学生さんは多いようです。しかし、「データをパズルのように枠組みに当てはめる作業をしなければ」と思っているとしたら、考え方を少し変える必要があります。データを枠組みに分類するのではなく、どのような意味があるのかを考えてみてください。
アセスメントの枠組みとしてゴードンの11の機能的健康パターンを用いる場合の例を考えてみましょう。 患者さんから「ストレスを感じるとお酒を飲んでしまう」という話を聞いたとします。このデータは、健康管理に関することなので、健康知覚ー健康管理パターンに当てはまります。ストレスに関連していることから、コーピングーストレス耐性パターンにも当てはまるでしょう。アルコールの摂取量や肝機能への影響を考えると、栄養ー代謝パターンにも当てはまりそうです。3つのうち、どこに分類したらいいのでしょうか? 実は、3つとも正解です。「ストレスを感じるとお酒を飲んでしまう」というデータは、少なくとも3つの「人間の反応」に関連しており、それぞれ異なった意味付けができるのです。
この例のように“データから情報への変換”を行うと、1つのデータが複数の意味をもち、複数の情報に変換されることになります(図1)。1つのデータを、看護学や医学、患者さんの個別性など様々な面からみて意味を考えることが重要です。
図1(『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』p.89より)
データがどの「人間の反応」に関連しているかという意味付けによって情報に変換していくと、結果としてアセスメントの枠組みに情報が振り分けられます。このとき情報は、単に枠組みに当てはめていった場合とは異なり、「人間の反応」ごとに集まっています。この情報の集まりを「人間の反応」として解釈・分析することで、治療や看護ケアを必要とする「人間の反応」、つまり健康上の問題が明らかになっていきます。
●アセスメントの視点ごとの情報が不足していて「人間の反応」の解釈ができない場合は、どうしたらいいですか? ●アセスメントの視点ごとに、その人にとって適切な「人間の反応」かどうか解釈するためには、他のアセスメントの視点に含まれる情報も必要ではありませんか?
●“データから情報への変換”とは何か?→p.88 ●アセスメントの流れのなかで、“データから情報への変換”はどこに位置しているか?→p.85 ●ゴードンの11の機能的健康パターン→p.54~p.69 読み込んでいます… 「Q&A一覧」へ戻る
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