書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』(以下、『看みえ④』)の事例解説を読んで、レポート用紙に実際にアセスメントを書くときはどうしたらいいの?と困ってしまった方、必見です! ここでは、Aさんのコーピング-ストレス耐性パターンのアセスメント(『看みえ④』p.309)の書き方を紹介します。この記述例と解説をもとに、誰がみてもわかりやすい、かつ過不足のないアセスメントの書き方を学んでいきましょう。 Aさんの健康知覚-健康管理パターンのアセスメントの記述例 Aさんの活動-運動パターンのアセスメントの記述例
Aさんは、50歳の男性、ステージⅡの直腸癌で直腸切断術とストーマ造設のために入院した患者さんです。アセスメントの前に情報をみておきたい人は、『看みえ④』p.308をみるか、こちらで確認しておきましょう。
アセスメントの記述は、内容によって色分けしています。
大きく2つの視点に分けて記述したときの例を示します。スクロールすると、それぞれの記述のポイントを解説しているので、それも必ずチェックしましょう!(PCの方は、解説アイコンをタップすると直接解説に飛びます)
それでは、Aさんのコーピング-ストレス耐性パターンのアセスメントの記述例と解説をみていきましょう。
まずは、『看みえ④』で示しているコーピング-ストレス耐性パターンのアセスメントの視点を確認しましょう。この視点で考えると、アセスメントの方向性(結論)が定まり、アセスメントが書きやすくなりますよ!はじめてアセスメントを書く場合、まず赤字部分の「アセスメント項目」ごとに書いていきましょう。
記述の最初に、「アセスメント項目」(黄緑下線)を示すと何について書かれているのかわかり読みやすくなります。ここだけでなく、すべての「アセスメント項目」においても同様です。
まずは解釈の記述です。解釈では、「Aさんのストレスとストレス耐性の関係はどうか」という視点で、Aさんの状態をとらえます。適切か/適切でないか、また、意欲・願望を示すのか、解釈したことを具体的に書きましょう(緑下線)。また、解釈の根拠となった情報(青下線)を必ず書きましょう。情報の記述がないと、なぜそのように考えたのか他の人には伝わりません。 Aさんのように、適切でない反応がみられる場合、それが実在型問題(紫マーカー)になるため、問題に挙げることを明記するとわかりやすいでしょう。
現在みられるAさんの「過剰なストレス負荷」になった原因・誘因を書きましょう(ピンク下線)。原因・誘因の分析では、Aさんの基礎情報やアセスメントの枠組みに含まれる情報など収集したすべての情報から原因・誘因を考えます。
最後になりゆきを推論した結果を記述します。現在みられるAさんの「過剰なストレス負荷」が、今後どうなるのか具体的に書きましょう(オレンジ下線)。Aさんの場合、これから手術を行うため、術後のことも含めて推論していきます。 全体の記述例へ戻る
解説①・②をふまえ、記述の最初に「アセスメント項目」(黄緑下線)を書き、「Aさんのコーピング方法は適切か」という視点でとらえたAさんの状態を書きましょう(緑下線)。ここでも、解釈の根拠となる情報(青下線)を忘れないでください。 解説②と同様、適切でない反応がみられる場合、それが実在型問題(紫マーカー)になるため、問題に挙げることを明記するとわかりやすいでしょう。 またここでは、ストレスやコーピングについての知識が必要になります。コーピングについて知りたい方は、ラザルスらのストレスモデル(『看みえ④』p.273)を参照してください。
解説③と同様、現在みられるAさんの「コーピング不足」になった原因・誘因を書きましょう(ピンク下線)。原因・誘因の分析では、Aさんの基礎情報やアセスメントの枠組みに含まれる情報など収集したすべての情報から原因・誘因を考えます。
最後に術後も含めたなりゆきを推論した結果を記述します。現在みられるAさんの「コーピング不足」が、今後どうなるのか具体的に書きましょう(オレンジ下線)。 全体の記述例へ戻る
他のアセスメントと同様に、記述の最初に「アセスメント項目」(黄緑下線)を書き、「Aさんのサポートシステムは適切か」という視点でとらえたAさんの状態を書きましょう(緑下線)。ここでも、解釈の根拠となる情報(青下線)を忘れないでください。
次に術後も含めたなりゆきを推論した結果を記述します。現在みられるAさんの「適切なサポートシステム」が、今後どうなるのか具体的に書きましょう(オレンジ下線)。ここでは良くないなりゆきの可能性が考えられていますが、現在のAさんと家族に危険因子がないため、リスク型問題には挙がりません。 ※コーピング-ストレス耐性パターンのアセスメントでは、すべてのアセスメント項目において強みがみられなかったため、強みの分析は記述していません。 全体の記述例へ戻る この記事を読んで、アセスメントが書けそうかもと少しは思えましたか? アセスメントを苦手と感じる人は多いですが、何をどんなふうに考えて、書けばよいのかわかれば難しいことはありません。『看みえ④』とともに、アセスメントの核となる「人間の反応」の解釈・分析をマスターして、看護過程を楽しく学んでいきましょう。
●看護過程で考える「人間の反応」とは何ですか? ●看護過程におけるアセスメントとは何ですか? ●Aさんの健康知覚-健康管理パターンのアセスメントの記述例 ●Aさんの活動-運動パターンのアセスメントの記述例
●「人間の反応」とは何か?→p.12 ●「人間の反応」の解釈について知りたい→p.92 ●「人間の反応」の分析について知りたい→p.95 ●原因・誘因の分析、強みの分析の手順を知りたい→p.96 ●なりゆきの分析について知りたい→p.99 ●Aさんについて知りたい(事例紹介)→p.247〜255 ●Aさんのアセスメントについて知りたい→p.278〜322 「アセスメントの書き方一覧」へ戻る
第1版 B5判 380頁 定価(本体3,300円+税) ISBN 978-4-89632-801-1 発行日 2020-06-30
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