これから地域看護学実習を受けるみなさんは、「実習では何を学べばいいの?」「事前学習はどうすればいいの?」と不安でいっぱいかもしれません。 実習は貴重な機会ですので、少しでも有意義なものにしてもらいたいと思います。 本記事では、地域看護学実習を終えた先輩に、実習のお話をうかがいました。保健師の仕事をイメージしながら、あなたの実習の参考にしてくださいね!
某保健センターで4週間の実習を行いました。そのなかで「4か月健診」「1歳半健診」「家庭訪問」「地域ケア会議」などに参加させていただきました。
家庭訪問には4週間で2回、乳幼児健康診査では健康教育を行いました。
参加した事業のなかでも印象的だったのは、保健師さんの指導を受けながら乳幼児健診の予診をさせていただいたことです。
[学校での事前学習]
[自己学習] 前述の学校の事前学習以外に自己学習も行いました。
保健師の役割を理解したうえで実習に臨みたいと思い、各発達段階の健康課題とその課題に対する保健師の役割について、図書館で本を借りて学習しました。でも、事前に学習しきれないほど膨大な内容だったので、事業の対象者に絞って本を借り、実習の間も目を通せるようにしていました。
家庭訪問や健康診査の手順については、授業や教科書だけではイメージがいまひとつできなかったのですが、大学にあるビデオ教材が役立ちました。
実習は、午前と午後にだいたい1つずつ事業が入っていました。事業がない時間帯もあり、この空き時間を活用して地域診断を進めたり、自己学習を進めたりしていました。
[ある日のスケジュール]
[地域診断] 実習中に、実際に事業に参加して気づいたことや、地区担当の保健師さんに質問して得られた地域の情報を、実習前に作成した地域診断に追加していきました。
特に地域の特性については、統計上のデータや数値からだけではイメージすることができませんでした。そこで、「とにかく地域を見てみよう」と思い、先生と保健師さんに許可をもらって、実習中にも地区踏査をしました。 実際に地域を歩くことで、地区の特性について具体的にわかったこともありました。
その後も保健師さんからアドバイスをいただきながら地区を絞り、その地区での健康課題を挙げ、何度も修正しながら最終的な地域診断の形に仕上げていきました。
[健康教育] 4か月健康診査では健康教育をする機会をいただきました。
グループメンバーと一緒に原稿と資料をつくりました。
本番までに学内と保健師さんの前でそれぞれデモンストレーションを行い、助言をいただきました。この助言を受け、対象者のニーズに合わせて一方的な指導にならないように、資料や道具を使うなどして印象に残るように工夫をして話を進めました。
[家庭訪問] 家庭訪問では、事前に対象者の記録をお借りして情報収集を行い、目標と支援計画を立て、地区担当の保健師さんに見ていただきました。
家庭訪問の当日は基本的に保健師さんに同行させてもらって見学をするという実習内容でしたが、対象者の方へ質問したいことがあるときは、訪問前に保健師さんの許可を得て質問をしました。
日々の記録の量は、看護実習に比べると少ないと思いますが、参加する事業の根拠法令や自治体の計画、ほかの事業との関係性を調べないと目標が立てられなかったので、目標を立てるための学習に時間がかかり大変でした。
初めのうちは、目標の立て方がわからず、「事業での保健師の役割を知る」という目標を立てたところ、保健師さんから「そんな大きい目標で、今日1日何を見るの?」とご指摘を受けました。
そこで、次からは参加する事業について事前に学習し、「この事業ではこういう点について見たい」と、より具体的な目標を示すようにしました。
<指導前の目標> 3歳児健診における保健師の役割を理解する。 <指導後の目標> 3歳児健診の保健師による予診の場面を見学し、母親に確認が必要な点を漏らさずに、かつ母親の育児を否定しないようなコミュニケーション方法について学ぶ。
さまざまな事業を見学することで、事業はそれぞれ独立しているのではなく、事業同士につながりがあり、それらをつなげて継続して支援していくのだということがよくわかりました。
また、事業に参加する前には、その事業がその地区全体の計画のどこに位置しているのかを把握しておくことが重要であると感じました。
そうすることによって事業ごとのつながりが見えてくるのだと思います。
看護実習のように毎日受け持ちの患者さんがいるわけではないので、事業がない日は、自分がその時間に何をしたいのか行動計画を組み立てなければなりませんでした。
初めは戸惑いましたが、事前に作成した実習目標を達成するためにはどのように過ごせばよいのかを考え、大学の先生に相談しながら、日々の行動計画を立てました。
私は複数の健康課題を抱えた方に対する保健師の支援に関心があったので、保健師さんに相談し、該当するケースの個人記録をみせていただき、そのケースを担当している保健師さんにお話をうかがい、自分が関心をもっているテーマの学習を深めることができました。
勇気を出して「記録を見せてください」とお願いしてよかったです。
座学だけでは、保健師の公衆衛生看護活動についてイメージができなかったのですが、実習を経験したことで、保健師の地域における具体的な役割について理解することができました。
また、保健師として将来行いたいことが明確になり、「保健師になりたい!」という思いがさらに強くなりました。
地域看護学実習は、看護実習とは違って見学が多いため、「この実習ではこういうことがしたい」という具体的な目標がないまま臨むと、受け身に終始してしまい、「得られるものが少なかった…」という結果になりかねないと感じました。
これから地域看護学実習に行かれる方には、この貴重な機会にぜひ多くのことを学び取ってもらいたいと思います。
Fさんのように実習を充実したものにするポイントは、参加する事業の事前学習と、保健師への積極的な質問です。
参加する事業の事前学習では、自治体のホームページを活用しましょう。 このとき、その事業の根拠法令や市町村の計画がわからないと、ほしい情報にたどり着けないこともあります。高齢者なら「介護保険事業計画」などをヒントに検索してみてくださいね。
また、保健師の仕事は、見学しただけではわかりません。Fさんのように、事前学習で基本的な内容をおさえたうえで、自分が学習したい目標や内容を積極的に保健師に伝え、答えてもらうことで、保健師のアセスメントや事業の運営方法などへの理解が深まり、保健師の仕事がみえてきますよ。
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