人気ファッション誌の専属モデルとして一世風靡した徳澤直子さん。 現在、2児の母である彼女は、モデルを続けつつ助産学を学ぶため大学院へ進学。 好奇心旺盛な姿勢だけでなく時間を有効活用した国試勉強法にも注目です。
モデルとして活動していたときから、系統立った勉強をしたいという思いがありました。なかなか実現できないなか転機が二つありました。一つは東日本大震災です。ちょうど第一子を妊娠していたときでもあり、命についてや、これからの自分の生き方について、改めてどんな人生にしたいかと考えたときに、人の役に立ちたいという思いが湧いてきました。 もう一つの転機は、アメリカでの出産です。私はミネソタ州で出産をしたのですが、そこには「Doula(ドゥーラ)」という助産師とはまた異なる職業があって、そうした文化の違いにも大きな影響を受けました。ドゥーラは出産・子育てを経験した女性が若いお母さんをサポートするというもので、私もある女性にお世話になりました。異国の地で出産するのは不安で仕方なかったのですが、ドゥーラ役となってくれた女性が、日本で出産を経験したアメリカの方で私と境遇が似ていたんです。彼女は、私の不安な気持ちに共感し、現地での医療の常識などを教えてくれました。振り返れば、こうしたサポートがなければ私は自信をもって「母親」をやれていなかったかもと思うこともあります。こうしたことから自分も出産・育児サポートを通して誰かの役に立ちたいと思い、看護を学ぼうと決意したのです。
思い切ってモデルをしながら看護学生となり、はじめは年の離れたクラスメイトと勉強するということに緊張しました。しかし、最初から最後まで学生生活は楽しかったです。今流行っていることをクラスメイトに教えてもらったり、実習中は励ましあったり、悩みを相談したり、国試後はみんなで打ち上げをしたり。苦楽を共にする仲間として、年齢を気にすることなく自然と仲良くなれたと思います。
「実習=大変」というイメージをもつ人が多いかもしれませんが、私の場合、座学では学べない貴重な経験をさせてもらったという思いのほうが強いです。今でも、実習で受け持った患者さんのお名前やどんなケアをしたということをすべて覚えています。授業では疾患の機序や、看護技術を学ぶ一方で、実習では患者さんと直接話すことができて、表情もみえる。看護のやり方も患者さんの状態や反応に応じて変わる。座学では学べないことが実習にはたくさんあると実感しました。 実習で認知症患者さんを受け持ったことがあったのですが、娘さんの名前を忘れちゃうぐらい重度で、トイレに行きたいという訴えが多くて一週間ずっと10分おきに排泄介助をしていました。ですが、そんな患者さんの目に、たまにご自身が戻ってくるときがあったんです。目の色が変わって表情が突然生き返る瞬間が。それを見たとき、嬉しくて、ケアを通して自分も救われるような貴重な体験をしたなと感じましたね。
育児との両立は大変です。学生生活では実習自体も大変でしたが、特に記録が大変でした。わからないことがいっぱいあって、あれも調べたい、これも調べたいって終わりがなくて。時間は限られているので、課題は必ずタイムリミットを決めました。完璧を目指そうとして自分に厳しくするのもよいけれど、母親業との両立のためにはがん ばりすぎて心身の不調をきたすよりは、力を抜いてバランスを上手に取ることがとても大切だと思います。切り替える力というか、あきらめる気持ちというか…満点を目指すのではなく、大事なところをおさえる。この感覚を大事にしました。 宿題を家に持ち帰ると、やらないといけないという気持ちがでて、ずっとやり続けてしまうということもありました。なので、できるだけ学校で終わらせるようにしていましたね。場所によってもスイッチが切り替えられたのはよかったと思います。家に帰ると子どもが待っていますから。国試勉強のときは子どもの相手をする時間までは集中して勉強すると決めて、オンとオフのメリハリがつきました。
国試勉強を本格的に始めたのは4年生の12月で、遅いほうだったと思います。それまでは卒業論文に集中していました。ただ低学年の頃からなんとなく国試は意識していたんです。教科書は難しくて、読みたくないなと感じたときは、『なぜ?どうして?』を読んでいました。易しく、かみ砕いて書かれていて、何も知識がない状態でも読めました。すごく助かりましたね。 それから実習のときには『レビューブック』を使っていました。重要なポイントがまとまっているので、概要をつかむのにぴったりなんですよ。座学で勉強したことを忘れていないかを、実習しながらチェックしていました。ほかにも『レビューブック』では国試に出た部分が青字になっているので、青字を見つけると、こんなところが国試に出ているんだと把握していましたね。
国試の勉強は時間がなかったので、机の前以外のすきま時間でも知識に触れられるようにしていました。移動中はアプリ版の『なぜ?』を読んだり、国試問題をつぶやくツイッターbotで流れてきた問題のスクリーンショットを撮って、クラウドにアップしたりしていました。とにかく使えるものはなんでも使っていましたね。直前期は9時から16時を国試勉強に当てていました。 また、寝る前はベッドの中でわからなかった問題を思い出していました。経験から解くことより思い出すことが大事だと感じていたので、思い出せないことは抜けているんだなと判断して、弱い所を見つけられるようにしていました。それから、ノートは作らないと決めていました。ノートにまとめるのは時間がかかるし、ノートを作って満足しては意味がないので。『クエスチョン・バンク』は2周しか解かなかったんですけど、頭のなかで何回も思い出していたので、知識がちゃんと定着したと思います。あとは荷物を増やしたくなくてiPadを使っていました。調べるためや、たまにノート代わりにも。
徳澤さんの「マイレビューブック」には、すぐ調べたい所や覚えたい所にインデックスを追加。
愛用の『レビューブック』、『公衆衛生がみえる』、iPad。調べ物はiPad を使うことが多いそう。
今年の国試は、ニュースになるくらい難しいと話題になっていましたね。1回しか受けていないからなんとも言えませんが、過去問よりも難しく感じました。長文問題が多く、読むのが大変でしたね。これだけ読んだのに1問分かあ…なんて思っていました(笑)。長い文章から必要な情報をピックアップしてアセスメントする、というトレーニングをあまりやっていなかったので、もうちょっとやっておけばよかったと思いました。それから5肢択2の問題も難しかった。ひとつは選べるんだけど、もうひとつが選べないんですよね。
国試勉強のモチベーションを保つのは難しかったですね。そんなとき私は国試を合格するのが目標ではなく、通過点だと考いました。受かったら大学院でもっと看護や助産について勉強していきたいという先の目標をもつことで、なんとかモチベーションを保つことができました。国試合格がゴールではなくて、「こんな看護師になりたい」とか、もっと先のことを考えるといいのかもしれません。 今は大学院で助産という自分の興味のある分野を勉強できて、とても楽しいです。研究ではいろいろな文献を調べて、学部の頃に比べると深く追究することができ、充実しています。 子どもも大きくなって、私が学生で勉強している、ということを理解してくれています。私が「課題上手くできなかった〜」っていうと「ママはがんばってるから大丈夫、怒られないよ」って声をかけてくれたり(笑)。家族が理解してくれることが支えですね。
看護学生・看護師さんの大変さって、世の中の人にあまり理解されていないと感じることが多々あります。看護師になるまでにたくさんのことを勉強して、根拠をもって看護を実践しているのに、まだまだちゃんと評価されていない分野だなと。そういうところが看護の課題なのかなと思っています。これを読んでくださっている皆さんと共に、私も看護を学んでいる一員として一緒に盛り上げていきたいと思っています。これからも一緒にがんばりましょう。
BLOG 徳澤直子オフィシャルブログ 「My Little Notebook」 https://ameblo.jp/tokunao/
Instagram https://www.instagram.com/tokuzawa.naoko/
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看護がみえるvol.1 基礎看護技術 第2版
レビューブック保健師2025
クエスチョン・バンク保健師2025
クエスチョン・バンク2025
クエスチョン・バンクSelect必修2025
レビューブック2025
看護がみえるvol.5 対象の理解Ⅰ
なぜ?どうして?zero2023
【WEB公開】INFORMA for Nurse 2022春夏号
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看護初年度コレダケ -生物,数学,物理,化学,ことば-
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