書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』(以下、『看みえ④』)の事例解説を読んで、レポート用紙に実際にアセスメントを書くときはどうしたらいいの?と困ってしまった方、必見です! ここでは、Aさんの健康知覚-健康管理パターンのアセスメント(『看みえ④』p.283)の書き方を紹介します。この記述例と解説をもとに、誰がみてもわかりやすい、かつ過不足のないアセスメントの書き方を学んでいきましょう。
※動画でも解説しています
Aさんの活動-運動パターンのアセスメントの記述例 Aさんのコーピング-ストレス耐性パターンのアセスメントの記述例
Aさんは、50歳の男性、ステージⅡの直腸癌で直腸切断術とストーマ造設のために入院した患者さんです。アセスメントの前に情報をみておきたい人は、『看みえ④』p.282をみるか、こちらで確認しておきましょう。
※健康管理に関する情報のうち,安全対策に関する情報はない.
アセスメントの記述は、内容によって色分けしています。
大きく2つの視点に分けて記述したときの例を示します。スクロールすると、それぞれの記述のポイントを解説しているので、それも必ずチェックしましょう!(PCの方は、解説アイコンをタップすると直接解説に飛びます)
それでは、Aさんの健康知覚-健康管理パターンのアセスメントの記述例と解説をみていきましょう。
まずは、『看みえ④』で示している健康知覚-健康管理パターンのアセスメントの視点を確認しましょう。この視点で考えると、アセスメントの方向性(結論)が定まり、アセスメントが書きやすくなりますよ!はじめてアセスメントを書く場合、まず右側の「アセスメント項目」(赤字部分)ごとに書いていきましょう。
記述の最初に、「アセスメント項目」(黄緑下線)を示すと何について書かれているのかわかり読みやすくなります。ここだけでなく、すべての「アセスメント項目」においても同様です。
まずは解釈の記述です。解釈では、「Aさんのこれまでの健康に関する認識は適切か」という視点で、Aさんの状態をとらえます。適切か/適切でないか、また、意欲・願望を示すのか、解釈したことを具体的に書きましょう(緑下線)。また、解釈の根拠となった情報(青下線)を必ず書きましょう。情報の記述がないと、なぜそのように考えたのか他の人には伝わりません。 ※分析(原因・強み・なりゆきを明らかにすること)は、解釈で明らかにした現在の状態について考えるため、「これまでの健康に関する認識」については、分析の記述がありません。下記の「現在の健康に関する認識」で分析は行います。 全体の記述例へ戻る
解説①・②をふまえ、次は「Aさんの現在の健康に関する認識は適切か」という視点でとらえたAさんの状態を書きましょう(緑下線)。ここでも、解釈の根拠となる情報(青下線)を忘れないでください。
Aさんの健康に関する認識は、これまでに誤った認識があったものの、現在では改善してきていると考えられています。「健康に関する認識」を維持・改善する強みを明らかにしておきましょう。この強みは、看護計画の立案時に生かすことができます。
最後になりゆきを推論した結果を記述します。現在みられるAさんの「改善してきている健康状態の認識」が、今後どうなるのか具体的に書きましょう(オレンジ下線)。 ※分析(原因、誘因・強み・なりゆきを明らかにすること)のうち、原因についての記載はありませんが、基本的には「解釈」の結果が適切でも適切でなくても、原因、誘因の分析は行います(適切でない場合、必ず原因への言及が必要です)。今回の事例では、特に目立った原因がみられていないため記述していません。 全体の記述例へ戻る
他のアセスメントと同様に、記述の最初に「アセスメント項目」(黄緑下線)を書き、「Aさんの健康管理状況は適切か」という視点でとらえたAさんの状態を書きましょう(緑下線)。ここでも、解釈の根拠となる情報(青下線)を忘れないでください。
Aさんの健康管理状況は、これまで受動的であったものの、現在では積極的な姿勢がみられると考えられています。解説④と同様に、「健康管理状況」を維持・促進する強みを明らかにしておきましょう。この強みは、看護計画の立案時に生かすことができます。
最後になりゆきを推論した結果を記述します。現在みられるAさんの「適切な健康管理状況」が、今後どうなるのか具体的に書きましょう(オレンジ下線)。 ※「現在の健康に関する認識」の分析と同様、「健康管理状況」の分析において、今回の事例では、特に目立った原因がみられていないため記述していません。 全体の記述例へ戻る
もれなくデータ収集することは大切ですが、一度にすべてのデータを収集することは難しいです。現在のAさんの状態を解釈する時点で、情報が不足していて追加のデータ収集もできない場合は、無理に根拠のない解釈を書こうとせず、情報不足の旨を書きましょう。もちろん追加のデータ収集ができる場合は、データ収集を行い解釈・分析することでAさんの状態をより理解できます。 全体の記述例へ戻る この記事を読んで、アセスメントが書けそうかもと少しは思えましたか? アセスメントを苦手と感じる人は多いですが、何をどんなふうに考えて、書けばよいのかわかれば難しいことはありません。『看みえ④』とともに、アセスメントの核となる「人間の反応」の解釈・分析をマスターして、看護過程を楽しく学んでいきましょう。
●看護過程で考える「人間の反応」とは何ですか? ●看護過程におけるアセスメントとは何ですか? ●Aさんの活動-運動パターンのアセスメントの記述例 ●Aさんのコーピング-ストレス耐性パターンのアセスメントの記述例
●「人間の反応」とは何か?→p.12 ●「人間の反応」の解釈について知りたい→p.92 ●「人間の反応」の分析について知りたい→p.95 ●原因・誘因の分析、強みの分析の手順を知りたい→p.96 ●なりゆきの分析について知りたい→p.99 ●Aさんについて知りたい(事例紹介)→p.247〜255 ●Aさんのアセスメントについて知りたい→p.278〜322 「アセスメントの書き方一覧」へ戻る
第1版 B5判 380頁 定価(本体3,300円+税) ISBN 978-4-89632-801-1 発行日 2020-06-30
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