看護過程を学んでいると必ず出てくる「個別性」というキーワード。でも、「個別性」って何?実習指導や学校の先生に「患者さんの個別性が反映されてない」なんて言われても、どうしたらいいの?という方も多いのではないでしょうか。 「個別性」への理解は、複数の患者さんの状態を比較したり、何人もの患者さんを受け持つことで深まります。ここでは、2人の患者さんの異なる部分を比較して「個別性」を学んでいきましょう。「個別性」という言葉が理解しづらい場合、「患者さんによって異なる部分」や「患者さん同士の違い」と表現すると少し理解しやすくなるかもしれません。
ここでは、年齢・性別・疾患・治療が同じ乳癌患者さんに挙げられた同じ看護問題「術後の生活に関する不確かさ(脅威)による不安」が挙げられた患者さんへの援助内容を比較して、「個別性」を学んでいきます。
2人に共通する看護問題は「術後の生活に関する不確かさ(脅威)による不安」です。また、不安の症状(不眠、食欲不振など)は2人とも同じであるとして対症的な介入は省略し、原因への根治的な介入である「脅威を軽減するための看護計画」のみを取り上げることにします。 立案した看護計画に違いが表れるポイントとなるのは、「不安」の原因である「術後の生活に関する不確かさ(脅威)」の根拠となった患者さんの情報です。まずは、HさんとIさんとで異なる情報に注目して、それぞれの「術後の生活に関する不確かさ(脅威)」がどのような状況なのか、「術後の生活に関する不確かさ(脅威)」を軽減するためにどのような看護計画が立てられたのかを把握しましょう。
HさんとIさんは、年齢・性別・疾患が同じで、アセスメントで導かれた「不安」という看護問題名だけみると、2人の問題は同じにみえます。そして、「不安」から導かれた目標・成果は2人とも同じだったのになぜ看護計画は異なっているのでしょうか。それは、不安の原因「術後の生活に関する不確かさ(脅威)」の根拠となった情報が異なるからです。つまり、そこには「個別性」があるということです。 このように、同じ看護問題でも、その看護問題の根拠となった患者さんの情報によって看護計画の内容は変わるのです。そして、そこに「個別性」が表れます。だからこそ、同じ看護問題でも成果や成果指標を立て、計画を立案する際には、その都度、患者さんの情報をもとに考えないといけません。 「個別性」は事例も含め様々な患者さんの看護過程を行うことで、患者さんごとの違いを見つけ、より理解を深めていけるものだと思います。『看みえ④』とともに看護過程の考え方を身につけ、いろんな患者さんの看護過程を行い、「個別性」のある看護を提供できるように学んでいきましょう。
●3人の肥満患者さんの事例から「個別性」を学ぼう ●2人の不眠の患者さんの事例から「個別性」を学ぼう ●2人の便秘の患者さんの事例から「個別性」を学ぼう ●2人の褥瘡リスクがある患者さんの事例から「個別性」を学ぼう ●看護過程における「看護計画の立案」で行うことは何ですか? ●日常生活のできごとからみた看護の個別的な介入のヒント ●書籍『看護がみえるvol.4 看護過程の展開』の事例からみえてくる個別性
●「人間の反応」の個別性について知りたい→p.14 ●コラム:日常生活のできごとからみた看護の個別的な介入のヒント→p.245 ●コラム:YさんとAさんの事例からみえてくる個別性→p.358 「看護の個別性を学ぼう!」一覧へ戻る
第1版 B5判 380頁 定価(本体3,300円+税) ISBN 978-4-89632-801-1 発行日 2020-06-30
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