A.アセスメントで患者さんの個別性を見極め、一人一人に合った看護を行うためです。
看護過程は、看護問題への介入を中心として、患者さんの健康を維持・改善・促進していく思考と行動の過程です。看護問題とは、健康上の問題となっている「人間の反応」のうち、看護師が独自に介入できるものを指します。
疾患名が同じでも「人間の反応」は人それぞれ
看護介入は、一人一人異なる患者さんのニーズに合ったものでなければいけません。たとえ同じ疾患で入院していても、発達段階や身体機能、家族構成、疾患の受け止め方、性格、これまでの人生経験など、あらゆる個別性によって「人間の反応」は変化します。例えば「肺炎」という同じ疾患で入院している患者さんが、「3歳の子供」と「車いすを使用している80代の高齢者」であれば、それぞれ異なる「人間の反応」を示し、看護問題も変わります。
一見同じ「人間の反応」でも介入方法は人それぞれ
また、一見同じ「人間の反応」であっても、原因が異なっていたり、患者さんの能力や強みに合わせて介入方法が変わってきたりします。例えば「食事摂取量が少ない」という「人間の反応」の原因が、「薬の副作用で食欲がない」「精神的ストレスで食欲がない」「嚥下時に疼痛があるのであまり食べられない」「痩せたいという願望が強いので食べられない」のどれか(あるいは複数か)によって、必要とされる看護は異なります。原因の違いによって、看護問題になる場合もあれば、ならない場合もあります。また、患者さんが食事についての教育を受けられる状態か、家族の協力はどうかなどによって、介入方法も変わります。
個別性が反映された「人間の反応」を理解するには?
このように「人間の反応」は千差万別です。アセスメントで患者さんの個別性が反映された「人間の反応」を理解して初めて、看護問題を含む健康上の問題を把握し、患者さんが必要としている看護を行うことができます。
患者さんを全人的にとらえ、個別性と「人間の反応」を理解するのは容易ではありません。そこで、『看護がみえるvol.4 看護過程の展開(以下、看みえ④)』では初学者でも「人間の反応」を理解しやすいように、アセスメントを次のような段階に分けて詳しく解説しています。また、「人間の反応」をもれなくとらえるのに役立つアセスメントの枠組みと、その使い方を紹介しています。
1.データ収集〔看みえ④p.70〕
2.「人間の反応」の理解〔看みえ④p.84〕
①データから情報への変換〔看みえ④p.88〕
②「人間の反応」の解釈〔看みえ④p.92〕
③「人間の反応」の分析〔看みえ④p.95〕
④「人間の反応」の判断〔看みえ④p.103〕
⑤「人間の反応」の関連性の把握〔看みえ④p.104〕
⑥看護問題を含む健康上の問題の把握〔看みえ④p.112〕
『看護がみえるvol.4』参照ページ
●アセスメントの大まかな流れを知りたい→p.40
●看護問題と健康上の問題の違いについて知りたい→p.41
●「人間の反応」の個別性とは?(具体例あり)→p.14
●原因の違いによって看護問題になる場合・ならない場合とは?(具体例あり)→p.115
●アセスメントの枠組みとは何か?→p.44
●本書で示しているアセスメントの枠組みの構成→p.48
関連するQ&A
●看護過程におけるアセスメントとは何ですか?
●健康上の問題と看護問題の違いは何ですか?