看護過程におけるアセスメントで明らかにする「強み」と「ヘルスプロモーション型問題」は、どの「人間の反応」に焦点を当てているかによって変わります。焦点を当てた「人間の反応」に良い影響を与えるものはその「人間の反応」にとっての「強み」となります。焦点を当てた「人間の反応」そのものがより良くなる可能性がある場合、その「人間の反応」はヘルスプロモーション型問題となります。つまり、他の「人間の反応」に良い影響を与えるものか、良くなっていく「人間の反応」そのものかという点で異なります(図1)。
図1(『看護がみえるvol.4 看護過程の展開(以下、看みえ④)』p.102より)
例えば、食事療法を必要とする患者さんの「食習慣」という「人間の反応」に焦点を当てた場合を考えてみましょう。
「食習慣」という「人間の反応」からみて、「料理が得意」「料理をするための時間がとれる」「野菜が好き」「家族が管理栄養士の資格を持っている」「摂食・嚥下の機能が良好に保たれている」などの情報は全て強みになります。「食習慣」という「人間の反応」を改善するうえで有利に働くからです。このように、「人間の反応」を維持・改善・促進できる因子が、強みなのです。
一方、この患者さんが「病気をコントロールするために食習慣を改善したい」という意欲・願望をもっていて、実際に改善していく能力もある場合、「食習慣」という「人間の反応」がより良い状態へ強化される可能性があります。このとき、意欲・願望を含む「食習慣」という「人間の反応」そのものがヘルスプロモーション型問題となります。
強みとヘルスプロモーション型問題には上記のような違いがありますが、1つの「人間の反応」が両方に当てはまる場合もあります。例えば、より良い状態へ強化される可能性のある「食習慣」という「人間の反応」は、ヘルスプロモーション型問題であると同時に、「栄養状態」といった他の「人間の反応」を維持・改善・促進する強みにもなりえます。このように、焦点を当てる「人間の反応」を変えることで、1つの「人間の反応」をヘルスプロモーション型問題とも強みとも捉えられるのです。
看みえ④で登場するSさんの場合、「健康管理向上への意欲」というヘルスプロモーション型問題が、4つの「人間の反応」の強みになっています(図2)。
図2(看みえ④p.108より)
●意欲・願望があればどんな場合もヘルスプロモーション型の看護問題になりますか?
●強みとヘルスプロモーション型問題の違いについて詳しく知りたい→p.102 ●「人間の反応」の分析とは何か、強みとは何か→p.95 ●強みの分析の手順→p.96 ●なりゆきの分析(ヘルスプロモーション型問題になる場合、ならない場合)→p.99
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