試験やテストで気になる成績……。 もし、成績が悪かったり、出席日数が足りなかったりして留年すると、どうなるのでしょうか……?
実際に休学を経験した学生Kさんからお話を聞きました。
3年生前期のテストが終わり、夏休みになりました! 楽しい夏休みを終えると領域別実習が始まります。
夏休み中に先輩とお会いする機会があり、そこで実習、特に「実習A」についてお話を聞きました。するとこんなことを教えてくれたのです……
実習A
・実習の中でも特に寝れない ・記録が大変! ・B先生は相当厳しい
このことが、領域別実習、特に実習Aについて漠然とした不安を抱くきっかけに。 しかし、このときはまだ「先輩たちもなんとかなってるし、私も大丈夫だろう」と考えていました。
3年生後期に入り、いよいよ噂に聞いていた実習Aが始まりました。そして、担当の指導教員は……あのB先生でした。
先輩から聞いていた話だけでなく、私自身、過去の授業や演習でB先生から厳しく指導された経験がありました。そのためB先生に対して過剰に萎縮してまい、担当病棟が苦手分野の科であったにもかかわらず、質問がなかなかできずに疑問点が雪だるま式に増えてしまいました。
同じ実習グループの友人に相談しようにも、友人は自身の記録のことで一杯一杯。相談のために声をかけられる雰囲気ではありませんでした。
学校のランチ友達に相談しようにも、同じく実習中。相談できる人が周りにおらず、ますます困ってしまいました。
その結果、私は過去に経験したことのないくらい追い詰められてしまいました。記録を進めようとしても涙が止まらず、「逃げ出したい」・「消えてしまいたい」という思いで頭の中が埋め尽くされるようでした。
実習Aの期間中は、病院近くの寮で生活していました。誰にも相談できず、心身ともに追い詰められていた私は、両親に電話をかけました。
はじめは、「実習がうまくいかなくてさ〜」と、明るく話そうとしていましたが、両親の声を聞いて涙が止まりませんでした。話しているうちに、どんどん呼吸が速くなっていきます。
ただごとではないと察した両親は 「もう実習はいい。今は休もう。Kが生きていてくれればそれでいい。」 と言ってくれました。
そして私は実習Aを断念し、休学しました。休学期間に入り、私は「よかった。これでもう辛い思いをしなくていいんだ」と安心した一方、「私、これからどうなっちゃうんだろう……」と、新たな不安を抱えることとなりました。
そこからしばらくは何もする気が起きず、自宅でほとんど寝て過ごしていました。もう実習Aのことは考えなくていいのに、理由もなく毎日泣いて過ごしていました。
インターネットで「看護 留年」と調べると、「留年した人は肩身が狭い」「学生で留年するような人に看護師が務まるの?」といったネガティブなものが多く出てきます。これを見てますます落ち込み、そして泣く……そんな日々が続きました。
休学からしばらく経ち、心療内科に通院するようになりました。通院では、臨床心理士や医師と話をし、自身の心と頭の中を整理していきました。同時に服薬もしていました。 幸い薬と相性が良く、服薬を開始してからしばらく経つと、理由もなく泣くことが大幅に減りました。
定期通院と服薬のおかげで前に進む力を少しずつ取り戻した私は、休学後の次学期から留年しもう一度看護の道に進むか、退学し新たな道に進むか決めなくてはなりませんでした。そこで、休学中に本を読むことと、周囲の人から話を聞くことを心がけていました。
どの分野で働くためにも必要な、心理やコミュニケーションについての本を中心に読んでいました。
休学をきっかけに、以前から読んでみたいと思っていた小説も読み、自身の世界を広げていきました。
自身の進路の決断に役立てようと思い、さまざまな職業や立場の方からお話を聞いてみることにしました。
家族や親戚以外にも、中学校・高校の同級生や恩師、アルバイト先のパートさん、友人の親御さん、近所のおばあちゃん、家族の勤務先の同僚など、さまざまな方からお話を聞きました。
皆さんは、私の言葉に真摯に耳を傾け、自身の職業や経験について多く話してくださりました。そして、皆さんが口を揃えて言っていたのは、
“後になればいい経験になるから、Kちゃんのやりたいこと、好きなことに挑戦してみてほしい!”
“今は休学してどうしようって思っているだろうけど、 長い人生で見れば一瞬のことだから1年くらいどうってことないよ”
“どんな道に進んでもずっと応援してるよ!”
といった言葉でした。
私が看護師を目指すようになったきっかけのひとつに、お世話になった地域の皆さんに貢献・恩返しをできる職業に就きたい、というものがありました。
さまざまな方にお話を聞いたことで、「私の夢は、やっぱり看護師になってこそ叶えられるものだから、看護師になりたい!」という気持ちが強くなりました。
留年という形で復学することにはもちろん不安もありました。 「また同じようにうまく実習ができないんじゃないか?」 「同じクラスになった人たちとうまくやっていけるだろうか?」 と不安でしたが、本を読んだことや、さまざまな方のお話を聞いたことで、対処できました。
同じクラスになった新たな友人には「Kさんがいるな〜とは思ってました。でも、体調が悪かったのかな?どうしたんだろう?くらいにしか思ってませんでしたよ」と言われました。そんなに心配することはなかったみたいです。
留年して、2度目の実習Aは、無事に終えることができました。
今は、この経験は無駄ではなかった、むしろ私に必要な経験だったと心から思っています!
休学や留年は金銭面や人間関係等の不安があるかもしれませんが、大抵のことはなんとかなります。私が証人です!
私の場合は、幸いにも両親の理解と応援がありました。これに加え、本や周りの方々のお話から、自分自身とじっくり向き合うことができました。自身と向き合い、そもそもどのような時・どのような考えの時に焦ってしまうのか、復学後に自身が焦った時の傾向と対策について、自己分析することができました。
欠席することを推奨するわけではありませんが、私の学校の場合、実習中に1日程度なら休んでも出席日数は確保できる計算でした。心が辛いときは無理せず休んでも良かったのかな、と振り返ります。
心も体も、一度大きなダメージを受けると、回復までに時間がかかります! 休息、メンテナンスのタイミングは自分が一番わかっているはずです。無理をせずにいきましょう。
休学のきっかけとなった実習前は、友人や家族に話を聞いてもらうという自分なりの方法をもっていましたが、今回はそれでは対処できませんでした。 前述のように実習中は友人も自身の実習や記録で一杯一杯で、相談するのに気が引けてしまったためです。 その結果、自身で対処できないほど抱え込んでしまいました。
このようなとき、皆さんは自分ひとりでもできるリフレッシュの方法を持っていますか?
対処法を実施する場所は必ずしも自宅とは限りません。実習前の更衣時間、実習中、帰宅後・自宅での対処法など、いろんな場所で実践できる対処法がいくつかあるといいですね。
自分なりの対処方法を持つことは、実習中だけではなく働いてからもきっと役に立つと思います。
先輩や学校外の方とは、ぜひつながりを作ってほしいです!
先輩との関係としては、定期テストの過去問をもらうことがメインの方も多いのではないでしょうか。先輩は、その学校の授業・テスト・実習について詳しく知っていて、かつ私たちに一番近い存在です。
実際に、私も仲良くしている後輩がいます。その後輩には私と同じ思いをしてほしくないので、テストや実習について事細かに語ってしまいます。
先輩としては、後輩から連絡が来るだけで「私って頼りにされてる〜!うれしい〜!」となります。ぜひ、先輩を活用しましょう。
私の場合は前述のように多くの方からお話を聞くことができました。自身だけでは経験できない、人生の先輩の話はとっても興味深く、ためになります! このような学校外のつながりも、ぜひ大切にしてほしいです。
学生は学んでいる立場なのだからわからないのは当たり前です。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」を身をもって経験しました。
「B先生にちゃんと質問していればこんなことにはならなかったかな……」と思うこともありますが、この留年も自身の大切な経験になっています。
留年後の実習Aでは、B先生ではなく、C先生が指導教員でした。 C先生からかけていただいた言葉、皆さんにも共有しますね。
復学後は今までの苦労が報われるかのように、楽しく実習ができました。
実習では先生に多く質問ができるようになり、座学では身につけられない学びと経験を得ることができました。
患者さんに対しては、休学中に身につけたコミュニケーション術を実践・活用し、患者さんの退院後の生活を見据えた看護過程の展開につなげることができました。何より、実習が楽しかったのです!
最後まで読んでいただきましたが、人から言われたり文章で触れたりすることと、実際に経験することは違うと思います。いくら私が「これが大切!」「これを考えて!」と言っても、その立場にならないと自分ごととして考えるのは難しいと思います。
この記事を読んだ皆さんが元気に授業・実習・国試を乗り越えられるよう、考えるきっかけを持ってもらえれば嬉しいです!
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