おだわら看護専門学校 実習調整・専任教員 細川朱美先生 専任教員 本多衣保子先生
神奈川県にあるおだわら看護専門学校は、ここ10年で直近2年間を含む6年間、看護国試合格率100%を達成しています。高い合格率を維持する秘訣とは?国試対策の先生にお話を伺いました。
国試で不合格になるのは1割ですから、学内や業者模試の成績で選出した、下位1割の学生のフォローに力を入れています。1学年40人[※]なので、約4人ですね。成績下位の学生は、学校から問題集などを与えられても、勉強の具体的なやり方がわからなくて困ってしまうことが多いです。そういった学生を教員は徹底的にフォローします。具体的には、夏休みや直前期には朝から夕方まで学校に来てもらい、マンツーマンでその学生に合った勉強法を指導します。たとえば知識不足の学生には、まず教員が講義して見せ、次にその学生に講義をしてもらったりします。指導で大事なことは、学生1人1人について情報収集し、アセスメントすること。看護過程と同じですね。成績下位者には長時間にわたりマンツーマンで指導するので、もちろん教員の負担も大きいのですが、結局は指導というのは教員の愛情そのものと考えています。 ※平成29年から1学年80名に変更
成績に関わらず学生の生活のフォローを心がけています。当校ではひとり暮らしの学生も多いので、教員から積極的に声をかけます。ひとり暮らしだと、話を聞いてくれるお母さんもいませんよね。ですから、ときには母親代わりになるのです。私生活を整えると、勉強に集中できるようになります。また、国試対策以前に、実習がうまくいくことも大事ですよね。実習のときにも、「辛いことがあったら、とりあえず話は絶対聞くよ。すべての要望をかなえられないけど、話だけは聞くからね」と伝えています。学生から声がかかるのを待つのではなく、教員から声掛けをすることが大事です。
領域別の実習中に、関連する領域の国試の過去問を解かせるようにしています。解いた結果は、実習グループ単位で「がんばり表」という表に記録をします。これは、当校が4年連続国試合格率100%を達成した最初の年である平成20年から始めた取り組みです。5月の連休明けの実習から始め、実習の1クールが終わるごとに、グループ単位で教員に提出させます。ここで重要なのは、いつまでにどこの領域をやるのかという設定を学生に任せるということです。学生は、教員との約束は守らないこともありますが、友人同士の約束はとても大事にするのです。「みんなで決めた期限だから」と守ろうとします。実習中の「やった?」とう学生同士の声かけが有効なのですね。また、「がんばり表」の裏には国試合格までの具体的なステップを書いています。国家試験は3年かけて取り組むものなので、学生は息切れしてしまうのです。いつ頃に何をしたらよいか具体的に書くことで、道筋を示してあげることが重要と考えています。
▲実習グループで領域ごとに期限を決め、国試の演習を記録する「がんばり表」。国試までに4周を目指す。