*国試によくでるレビューブックコードTOP10*シリーズ
今回ご紹介するのは、同率3位の糖尿病です。
□① 糖尿病は,インスリンの作用不足によって引き起こされる,糖質代謝を主とする種々の代謝異常を起こす疾患である.
□② 膵臓のβ細胞障害による高度のインスリン分泌障害が成因となる1型糖尿病と,インスリンの作用不足が成因となる2型糖尿病に大別される .インスリンの作用不足は,インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増加によって起こる.
□③ インスリン抵抗性とは,肝臓,筋,脂肪細胞におけるインスリン感受性が低下し,インスリンが効きにくくなった状態である.インスリン抵抗性 が生じる原因のひとつとして,内臓脂肪蓄積(過食や運動不足などの生活習慣が主な原因)がある.
□④ 高血糖症状として口渇,多飲,多尿,全身倦怠感,異化作用亢進により体重減少が生じる.
□⑤ 糖尿病を診断するうえでは,血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシ ー)の2つを検査し,糖尿病型かどうかを判断する.
【糖尿病型判断の指標】 ●血糖値が次の❶~❸のいずれか ❶空腹時血糖値(FBG)≧126mg/dL ❷75gOGTT(糖負荷試験2時間値≧200mg/dL ❸随時血糖値≧200mg/dL
●HbA1c HbA1c≧6.5%
□⑥ HbA1cとは,血中ヘモグロビンのうち,糖と結合したヘモグロビン(グリコヘモグロビン)の割合を示す値である.変動しやすい血糖値と違い,過去1~2か月の血糖値を反映するため,糖尿病の診断に用いられる(基準値:4.6~6.2%).
〔食事療法〕 □⑦ 標準体重と身体活動量より,摂取エネルギー量を算出する.身体活動量 からみた標準体重1kgあたりの摂取エネルギー量は,以下のようである.
軽労働(デスクワークが主な人,幼児のいない主婦) :25~30kcal 中間労働(立ち仕事が多い職業,幼児のいる主婦) :30~35kcal 重労働(力仕事が多い職業) :35kcal以上 ※耐糖能異常のある妊婦では,上記とは別の食事療法が必要である.
□⑧ 血糖の日内変化が著しくならないように,糖質摂取の量や時間的配分が重要である.
〔薬物療法〕 □⑨ 1型糖尿病は体内でのインスリン分泌不足が原因であるため,インスリン療法の絶対的適応である.
□⑩ インスリン製剤は,分量を単位(U)で表す.
□⑪ インスリンの持続投与時や治療経過中に起こることがある低血糖,低カリウム血症に注意する.
□⑫ 治療や合併症に対する不安を取り除き,治療に対する動機づけを行い,目標を設定していく.また,治療を怠った際の危険性を脅かすことなく説明し,糖尿病治療に対して前向きに取り組むよう指導する.
□⑬ 薬物療法中の糖尿病患者では,冷汗,動悸などの低血糖に特有の症状が認識できるように説明し,対処(単糖類の摂取)できるように指導する.
□⑭ 糖尿病患者は易感染状態であるため,手術の際は,術後の創感染などへの感染症対策が重要である.
□⑮ また,手術侵襲により術後高血糖となるため,より厳密な血糖管理が必要とされる.
□⑯ インスリン療法を行う患者への援助として,血糖自己測定,自己注射の方法,インスリン療法の目的,薬剤効果などの説明を十分に行う.
□⑰ インスリン注射は清潔操作を厳守し,食事の30分前(速効型)あるい は食直前(超速効型)などに皮下に行う.
□⑱ 万が一インスリン注射を忘れて食事をとり始めた場合,食事を中断してインスリンを注射する.
□⑲ インスリンの同一部位への注射は,脂肪組織萎縮や硬結(ルビ:こうけつ)などを起こすおそれがあるため,繰り返さないようにする.インスリンの吸収のよい腹壁,上腕,殿部,大腿部に約2cm間隔で毎回位置を変える.
□⑳ インスリンは皮下注射とし,吸収速度を速めるようなこと(温める,もむ など)をしないように指導する.
〔シックデイ・ルール〕 □㉑ 糖尿病患者が感染症や消化器疾患,外傷,ストレスなどにより体調を崩した場合や,食欲不振のために通常のように食事ができないようなときをシックデイという.
□㉒ 食事をあまりとれない場合や,食事量が予測できない場合は,食後にインスリンを投与することもある.その場合は,食後すぐに,食事量に応じて量を調節した超速効型インスリンを注射する.
●ほぼ毎年出題されており,全レビューブックコード中でもTOP10に入る頻出項目である.療養指導(17問中8問)などの看護についての出題が多いが,合併症やインスリン療法なども含めまんべんなく学習しておくべきと言える.
他の国試分析については、『クエスチョン・バンク2019』を確認しましょう!
糖尿病の血糖コントロールの指標となる検査値はどれか.
1.総ビリルビン 2.総コレステロール 3.グリコヘモグロビン 4.クレアチニンクリアランス
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Aさん(54歳,女性)は,10年前に2型糖尿病と診断され,外来受診を続けていた.今回血糖コントロールが不良となり,精密検査とインスリン治療を検討するために入院した.身長154cm,体重45kg,HbA1c9.0%.早朝空腹時血糖値178mg/dL,食事摂取の指示エネルギー量は1,400kcal/日である.
〔94〕 入院初日.Aさんは看護師に「10年間頑張っていたつもりだったけど,やっぱり食べ過ぎていたのね」と話す. 看護師の対応で最も適切なのはどれか.
1.「もう少し頑張れるとよかったですね」 2.「食品交換表の使い方を勉強しましょう」 3.「食べ過ぎていたかどうか一緒に確かめてみませんか」 4.「退院後はインスリンを使わなくてすむよう頑張りましょう」
〔95〕 入院後5日.超速効型インスリンの自己注射が開始された.開始7日,Aさんがインスリン注射を忘れて,昼食を食べ始めていたところを看護師が発見した. 看護師の対応で最も適切なのはどれか.
1.食事を中断して血糖値を測定する. 2.食事を中断してインスリン注射をする. 3.インスリン注射の必要性を再度詳しく説明する. 4.今後は看護師が食前に注射をするよう声をかけると説明する.
〔96〕 入院後2週,Aさんは血糖コントロールが改善してきたため,退院予定となった.退院後も毎食前に超速効型インスリンを使用する予定である.Aさんが「家で低血糖にならないか心配」と話したので,退院前に外泊を行って血糖値の変化を確認することにした. 外泊中の家での生活,血糖値および摂取エネルギーを表に示す.
Aさんの低血糖予防として適切なのはどれか. 1.朝食前に飴をなめる. 2.掃除を2日に1回とする. 3.午前11時ころに補食を摂る. 4.夕食前の買い物は自転車で行く.
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次回はTOP2の「加齢による身体的機能の変化」をご紹介します。
乞うご期待ください!
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