みなさん、他の学校でコロナ禍の実習がどのように行われているか気になりませんか? 新型コロナウイルスは普段の生活だけでなく授業や実習にも大きな影響しているようで、春から秋の実習は例年と異なりオンラインや学内で実施されたという学生さんも多数……。 そこで、2020年度の病院実習やオンライン実習、学内実習それぞれの看護実習体験談を看護学生さんたちに語っていただきました!みなさんとても良い経験を積んできたようです。 「実習ってどんなもの?」と実習未経験の学生さんから、「他の人はどんな体験をしているのかな?」とすでに実習にいかれている方まで必見です!
今回の実習では統合失調症の患者さんを受け持ちました。事前にカルテからその患者さんは感情失禁があり、不安が増強すると泣いてしまうことがあるという情報を得ていました。 実習2日目、ベッドサイドで患者さんと話していたところ「昔のことを思い出した」と言って突然、大声で泣きだしてしまいました。私はどうすればよいのかわからず戸惑いましたが、自然と患者さんの手を握っていました。そして看護師さんが抗不安薬を持ってくるまでの約10分間、手をさすりながら患者さんに声をかけつづけたのです。私自身このような振る舞いができるタイプの人間ではないと思っていたため、自らの行動に驚きました。半年以上の実習によって少し成長することができたのかなと思います。 翌日、患者さんが「不安で仕方がなかったときに、学生さんが手を握ってそばにいてくれたのはありがたかった」と言っていたという話を聞いたときはとても嬉しかったです。正直、精神看護に苦手意識をもっていて実習に参加する前までは不安を感じていましたが、自分の行動によって患者さんが安心してくれたという今回の経験は自信に繋がりました。
化学療法をされている肺癌の患者さんを受け持ったときのことです。患者さんは化学療法による骨髄抑制が起こっており感染対策が必要でしたが、声かけをしても実施していただけず、私はどう支援すればよいのか悩みました。そんななか、患者さんより「習慣じゃないから難しい」と言われたことをきっかけに、私は初めて患者さんの思いを知りました。 その後、指導者の方に助言をいただきながら、うがい薬を手の届きやすい場所に置くなど、できることを患者さんと一緒に考えて実施するようにしました。その結果、患者さんが自らの行動を主体的に決定できたことからか、患者さんが少しずつ自主的に手洗いうがいを行うようになりました。 私はこの経験を通して、看護師の一方的な理解ではなく、まずは患者さんの思いを知り、何ができるのかを一緒に考え、支援することが大切であるということを学びました。またこのことが、患者さんの思いを尊重した看護を行いたいという看護観にも影響しています。
これまではペーパーペーシェントを使って看護過程を展開していたので、資料に書いてある情報の中から必要な情報を収集してアセスメントすることに困難を感じたことはあまりありませんでした。しかし、実習で受け持つ患者さんは当然のことながら生身の人間です。そのため情報収集が難しいと思うことが多くありました。例えば、患者さんから予想していなかったリアクションが返ってきたり、思い通りに情報を得られなかったり……。それでも、こういったことが看護のおもしろさや楽しさの1つであると考え、また柔軟に対応する力が試されているとも思いました。 今回が初めての長期の実習で、始まる前までは怖くて緊張していましたが、いざ始まってみれば想像以上に楽しいものでした。恐れがあったのは、Instagramの投稿などで「実習で指導者に『看護師に向いてないんじゃない?』と必要以上に厳しく指導された経験がある」といった投稿を目にする機会が多かったからだと思います。しかし、今回の実習でそういったことは全くなく、先生方のフォローも手厚かったです。看護教育自体が変わりつつあるのではないかと感じました。
コロナウイルスの影響により「慢性期看護学実習」はオンラインでの実施となりました。受け持つ患者さんは、過去に先輩が受け持ったことがある実在する方で、私たちは当時のデータをもとに情報収集・アセスメント・看護計画の立案を行い、学内で先生を患者役としてロールプレイングしました。 このオンライン実習は、患者さんについて得られる情報が限られていること、またその方が本当に思っていることや感じていることを捉えにくいことに難しさを感じました。そこで私は、患者さんが感じていることを想像しやすくするために、インターネットでその病気と闘っている他の患者さんのブログや動画を見て、患者さんのリアルな感情を知るように努めました。やはり患者さんの発する言葉は看護過程を展開するにあたって重要なので、この工夫があったおかげでロールプレイング時の声かけの内容が充実するようになったように思います。 実際に患者さんを受け持って実習できるのに越したことはありませんが、オンライン実習でも学びはありとても良い経験ができました。
今回の実習は事例に基づいて看護展開を行う学内実習でした。事例から看護計画を立てて、人形にケアを行う。そしてケアを評価し新しいケアを計画する、という一連の流れを経験しました。ケアを行う際は、人形を事例に出てきた患者さんに見立てて行いました。先生が隣で患者さんになりきってs.oデータを提示してくれます。学生はその情報を元に、患者さんのその日の意識レベルや状態に合わせて臨機応変にケアを実施したり、ケアの評価をしたりしました。 今までの病院実習では、看護展開や患者さんとの関わりの質に納得いかないことがありましたが、今回は学内実習で時間に余裕があったため自身が納得のいく看護展開をすることができました。例えば、病態へのケアだけでなく精神面や家族に対する看護計画を立てたり、他職種の連携についてや倫理的問題についても深く考察したり……。 実際に病棟には行くことはできませんでしたが、その分時間に余裕があり、丁寧に考察したり、文献などを通して知識を深めたりすることができた有意義な実習だったと思います。
9月から3か月間の実習はペーパーペーシェントを用いた学内実習からのスタートでした。毎日、学校指定の用紙に看護過程の展開を書いたり、患者さんに合わせて状況設定をして看護技術を行ったりしました。 患者さんを直接見ているわけではないため、知識やイメージが足りず先生から質問されても答えられない場面が多々あり自身の勉強不足に悩むことがありました。しかし、病院とは異なりグループのメンバーも同じ患者さんを受け持っているため、お互いに足りない知識を補い合ったり、先生に時間をかけて相談したりすることができます。また、好きな時間に図書室を利用することができるため、さまざまな教科書や参考書を読むことも可能です。このように、一つの項目に対して時間をかけて取り組むことができる点に、病院実習とは異なった魅力を感じました。 また、学内実習は初めての試みということで、もちろん学校の先生方が知恵を出し合い、充実した実習になるよう工夫をしてくれていますが、私たち学生もより良い実習となるように意見を出し合い、新しい取り組みを一つずつ立ち上げていきます.こういった部分にも私は達成感も感じています。残りの実習は学内と臨地の混合になりますが、このご時世のなかでいろいろな経験ができることに感謝して頑張っていきたいです。
いかがでしたか?今年度は特例的に病院、学内、オンラインと多様な形態の実習が行われているなか、みなさんそれぞれ実りのある経験をされているようですね。この体験記を通して、ぜひ他の看護学生さんの実習の様子をイメージしていただけたらと思います。
今回、実習の体験談を聞くなかで、多くの学生さんが「この状況でも実習ができることに感謝している」と話していたのが印象的でした。期間の短縮や病院以外での実施などいつも通りの実習が行えずもどかしい思いを抱えながらも、感謝の気持ちを忘れないその姿勢には感服するばかりです。
今後も実習にまつわる記事を続々と公開予定ですのでそちらもぜひお楽しみに!
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