監修:山田深先生 杏林大学 医学部 リハビリテーション医学教室 教授
こんにちは! メディックメディア編集部です。 このコーナーは、編集部に寄せられる読者の皆さんの質問をもとに勘違いしやすい看護の知識をご紹介していきます。
例)仰臥位の状態で上肢を真横に45°までしか動かせない ↑ この状態は『看護がみえるvol.3フィジカルアセスメント』の採点の原則に載っているMMT2の定義「重力を除去すれば全可動域の運動が可能」とMMT1の定義「筋収縮は認められるが、関節運動はない」のどちらにも当てはまりませんよね。
このような状態はどう評価したらよいのでしょうか?
なかなか鋭い質問です。 確かに次の「採点の原則」を見ると「重力を除去した状態で45°まで動かせる」という状態はMMT2とMMT1のどちらにも当てはまりません。どういうことでしょうか。
先に答えを示すと、MMT2のように全可動域の運動はできないけれども、MMT1のように関節運動がないとはいえない、という状態のことは「MMT2-」と評価するとされています。そのほかの段階たちの間と比較して、MMT1とMMT2の定義の間は機能的な差が大きいため、中間の評価をすることがあるのです。その場合「-」を使って表現します。
では、「MMT2」以外にも中間の評価あるのでしょうか? 答えはイエスです。 臨床現場では、その他の段階についても「-」や「+」を用いることがあります。しかし、6段階の評価のような定義が確立されているわけではなく、検査者の主観が評価に大きく影響してしまうため、これは厳密にいうと正しい方法ではありません。「MMT2-」のみが上記の理由で使われることが多いのです。
ただ、みなさんが臨床現場に出たときは「MMT3+」といった評価を目にすることがあるかもしれません。「-」や「+」を使った評価方法があるということは頭の片隅においておくとよいでしょう。
看護学生さんに必ず押さえておいてほしいことは、MMTの評価が6段階であるということとそれぞれの評価の内容です。というのも、看護師国家試験でこれらに関する問題が出題されたことがあるのです。
1問目の正答は選択肢5の「6」、2問目の正答は選択肢1の「1」ですね。「徒手筋力テストの判定基準は6段階である」という点(0をカウントし忘れないように!)と、それぞれの判断基準の内容を押さえておくと解ける問題です。
そのほかにも、徒手筋力検査について正しい選択肢を選ぶ問題において、誤りとして「評価は2段階表示で行う」という選択肢が含まれていたこともありました。今後もMMTの段階の数や判断基準の内容を問う問題が出題される可能性がありますので、この機会にきちんと覚えてしまいましょう!
ちなみに、MMTについての説明が『看護がみえるvol.3フィジカルアセスメント』のp.347-353が載っていますので、そちらもぜひお読みくださいね。
第1版 B5判 384頁 定価(本体3,300円+税) ISBN 978-4-89632-781-6 発行日 2019-12-17
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