監修:山田深先生 杏林大学 医学部 リハビリテーション医学教室 教授
こんにちは! メディックメディア編集部です。 今回は「あひる歩行(動揺性歩行)」という歩行について解説をします。 少し発展的な内容ですが、臨床現場でも役立つ知識で、さらに国試対策にもなる情報が掲載されているので、ぜひお読みくださいね!
まずはここから押さえましょう! あひる歩行(動揺性歩行)とは、体幹を左右に揺らしたり、上半身をのけぞらせる姿勢や前傾した姿勢をとったりしながら歩く歩行のことをいいます。
骨盤周囲や体幹の筋肉などが正常に機能している場合では、次のイラストのように歩く際、片足立ちの状態になっても体幹や骨盤が大きく傾くことはありません。 しかしこれらに異常をきたすと体幹や骨盤が傾いてしまいます。 次のイラストは例として中殿筋に筋力低下が見られた場合に骨盤が傾く様子を説明したものです。 上のイラストのように何らかの原因で骨盤や体幹が傾くと歩く際に体幹が左右に揺れるようになります。またバランスをとるために上半身をのけぞらせる姿勢や前傾した姿勢をとることもあります。両側にこのような筋力低下が生じ、体幹を動揺させながら歩く状態があひる歩行です。 ★歩行イメージ(中殿筋の筋力低下が原因の場合の例)★ あひる歩行がみられる原因は様々ですが、主な疾患として筋ジストロフィーや多発性筋炎などがあげられます。また、両側の変形性股関節症でもあひる歩行を呈することがあります。
あひる歩行は骨盤周辺や体幹の筋肉の異常により生じますが、特に股関節外転筋群に問題がある場合では、「トレンデレンブルグ徴候」という特徴的な立位姿勢が見られることがあります。 トレンデレンブルグ徴候とは、股関節外転筋群の筋力低下や麻痺が原因で、患側で片足立ちしたときに、遊脚側の骨盤が下がっている状態のことを指します。 ※また、イラストでは体幹が遊脚側に傾いていますが、遊脚側への体幹の傾きの有無は問いません。 このような状態で歩行する様子を「トレンデレンブルグ歩行」といい、変形性股関節症等で筋力が低下した患者さんなどでみられます。症状が両側性で体幹の動揺が大きければ、あひる歩行と同じような歩き方になります。 ★トレンデレンブルグ徴候★
トレンデレンブルグ徴候は次のように過去、国試で選択肢になったことがあります。
ここまで読んでいただいたみなさんは4が答えではないということがすぐにわかりますね。 「トレンデレンブルグ徴候は中殿筋などの股関節外転筋群に異常をきたすことで遊脚側に骨盤が傾く現象」ということを押さえおきましょう!
いかがでしょうか。やや発展的ですが、あひる歩行とトレンデレンブルグ徴候について解説しました。 『看護がみえるvol.3フィジカルアセスメント』の付録動画には「あひる歩行」があります。実際の患者さんが歩いている姿が見られてさらに理解を深められますので、ぜひご覧ください! また、トレンデレンブルグ徴候がみられる歩行(トレンデレンブルグ歩行)について、同書籍の p.335に掲載されていますので、そちらも併せてご確認くださいね。
第1版 B5判 384頁 定価(本体3,300円+税) ISBN 978-4-89632-781-6 発行日 2019-12-17
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