私の勤務先は特別区なので、都道府県(保健所)と市町村(保健センター)の業務を併せて行います。担当地区では、母子、精神、成人、難病など、さまざまな分野の相談を受けています。加えて、各業務担当の事業では、計画から実施、評価までを担当しています。新型コロナウイルスが流行し始めてからは、感染症対策課の応援で兼務となり、疫学調査や住民の方からの相談対応などを行っています。
大学生のときに、授業で健康の社会的決定要因について学び、人々の健康に影響を及ばす要因にはさまざまなものがあることを学びました。そして、人々の住む地域や社会にアプローチすることで、病気を予防することができるのではないかと考え、保健師を志しました。
私の自治体では、乳児健診の際に、合わせてお母さんに対する生活習慣病予防のための保健指導を行っています。 健診ごとに統計をとると、糖尿病のリスクが高いお母さんが多いことがわかりました。お話をうかがってみると、日々の生活の忙しさから、自分自身の健康に気をつけられない状況にある方が多いことがわかりました。そこで、糖尿病予防のための教室を開くことにしたのです。対象となるお母さんに集まっていただき、一緒にストレッチをしたり、教室で学んだことを発表してもらう場を設けたりしました。
保健師になった1年目は、住民の方からの相談に答えられないことがたくさんありました。自分の知識や経験不足に落ち込みましたが、先輩保健師に相談したり、面接に同席してもらったりして経験を重ねるうちに気がついたことがあります。 それは、住民の方の訴えに答えることはもちろん大切ですが、その訴えの背景にある潜在的なニーズについて知らなければ、本当の解決につながらないのだということです。 このことを意識してからは、すぐになにか答えなければと焦らずに、住民の方の訴えに耳を傾け、同じ方向性を向いて一緒に考えることができるようになったと思います。
住んでいるだけで、いつの間にか健康になっていくような地域づくりができるといいなと思っています。これまで生活習慣病は自己責任だと捉えられてきました。でも、その人の生活背景や根本的な原因を探っていくと、個人の努力ではどうすることもできない社会的背景や環境など、さまざまな要因があることがわかります。 私が勤務する自治体では、大学と協働して、地域の飲食店に野菜の多いメニューを安く提供してもらえるように協力を求める活動を行いました。
学生のときには、育児の経験がないのに育児の話をしたり、病院の臨床経験がないのに人々の健康の相談にのったりすることが、はたして私にできるのだろうかと心配していました。このことを保健師として働かれていた先輩に相談したところ、「同じ体験をしたからといって、人それぞれ価値観も違うから、同じ感じ方ができるわけではなく、それよりもその人がどういう生活をして、どういうことに困っているのかをちゃんと聞いて、その人にどう伴走できるかということが大切なんじゃないかな」とアドバイスをもらいました。この言葉で、いままで引っかかっていた気持ちが軽くなりました。 保健師がひとりで住民の困りごとを背負い込むのではなく、地域住民や職場にいるたくさんの専門職のメンバーと協働して考えることが、一人ひとりがいきいきと暮らせる地域づくりにつながるのだと思います。
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