1.これまでの2倍!画像問題、大幅増加 2.採点除外が続出!どうする?必修対策 3.長文化傾向、続く 4.新規テーマ出題率、減少 5.5肢択2問題が減少 6.『キーワードからみる5つの傾向』のまとめ
第107回看護師国家試験では画 看護師国家試験における画像問題数の変遷像問題の出題数が昨年の4問から2倍の8問に急増しました。過去9回分の画像問題の出題数をみてみると3~4問で推移していることから、今回の出題数は圧倒的に多かったことがわかります。
Aちゃん(生後4か月,女児)は,嘔吐とけいれんのため病院を受診した.受診時,Aちゃんは傾眠状態で,顔色不良と眼球上転がみられたため入院となった.受診時の体温は36.8℃であった.四肢は硬直し,数か所の内出血斑があった.大泉門は平坦であったが,次第に膨隆を認めるようになった.このときの頭部CTを別に示す.Aちゃんの所見として考えられるのはどれか.
1.急性脳症 2.てんかん 3.硬膜下血腫 4.細菌性髄膜炎 正解:3 正答率:75.3%
頭部CTを別に示す.論理的思考を制御する領域はどれか
1.A 2.B 3.C 4.D 5.E 正解:1 正答率:59.8%
Aさん(56歳,男性)は,コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している.不規則な生活が続き,ストレスが溜まることも多く,十分な睡眠がとれないこともあった.荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ,狭心症が疑われたため検査をすることになった.脂質異常症の既往がある.Aさんの運動負荷心電図検査(トレッドミル運動負荷試験)の結果を別に示す.このときの心電図の所見で適切なのはどれか.
1.発作時はST低下がある. 2.発作時はP波が低下している. 3.安静時は異常Q波がある. 4.安静時は冠性T波がある. 5.安静時と発作時ともにQRS幅が拡大している. 正解:1 正答率:83.6%
画像問題の内容は、第103回を境に大きく変わりました。第102回までは毎年のように問われていた写真から疾患の特徴的な身体所見を読み取る問題が出題されなくなり、その代わりにエックス線写真やCT画像、心電図、看護師が臨床で用いる器具などに関して多く出題されるようになったのです。保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会の検討内容によると、看護師国家試験の画像問題に関して、 ●所見や状態、医療機器や物品など、そのものについて直接的かつ詳細には文章で問うことが難しい問題や、処置及び看護技術など写真を用いることでより具体的に問うことができる問題などにおいては、視覚素材が有効に活用され、正確に問うことができている。 ●看護師国家試験では画像診断の活用に関する問題などを引き続き出題することによって、より状況判断能力や実践能力を問うよう工夫することが望ましい。
「保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書」(2016年2月22日)より
としており、第108回以降も臨床現場で目にする物品や検査画像などについての問題が積極的に出題されると予測されます。
身体所見の写真から疾患を推測する問題や、基本的手技に関する写真問題が多く出題されています。
身体所見の写真の代わりに、血管造影やCT、心電図などさまざまな検査画像が多く出題されるようになりました。
第103~106回の傾向をベースに、胎児心拍数陣痛図など新傾向の画像も加わりました。なお、8問中3問はCT画像についての出題でした。
※緑マーカーは心電図、オレンジマーカーは臨床現場で触れる器具、紺マーカーは検査画像に関する問題です。
では、具体的に第108回ではどのような画像問題が出題される可能性が高いのでしょうか。これまでの出題傾向を踏まえ、来年以降、画像問題で注目すべきテーマについてまとめました。
心電図は第103回以降、ほぼ毎年出題されています。 P波、QRS波、T波といった基本的な波の形が分かるようにしておくことや、代表的な不整脈の波形を知っておくこと、またそれらから疾患の重症度を推定し、それに応じた対処法や治療まで一歩踏み込んだ学習をしておくと安心です。
● 心室細動の波形を読み取り、初期対応を答える問題(103A50) ● 心電図の所見を問う問題(下図参照)(104A87) ● 右心室ペーシング波形から心拍数を計算する問題(106A34) ● 運動負荷心電図の所見(107A91)
1.R-P間隔の不整 2.細動波の出現 3.QRS波の消失 4.STの上昇 5.陰性T波
● 基本的な波形の読み方 ● 波形や基線の異常 ● 不整脈の波形 など
実習や臨床現場で必要となる知識を問う問題も多くなっています。 看護師が臨床で行う技術にかかわる器具を実際に見て名前を覚え、またそれらの使用方法についておさえておきましょう。
● ベンチュリ―マスクの吸入酸素濃度調節(105A24) ● 膀胱装置カテーテルの挿入の長さ(105A71) ● さまざまな検査器具からウェーバー試験に使用するものを選ぶ問題(107A34) ● パルスオキシメーターの読み方(107A84)
● 輸液回路 ● 採血器具 ● 血圧計 ● 簡易血糖測定器 ● 経管経鼻栄養チューブ ● 吸引器 など
検査画像の問題では、まず正常構造がどのようにみえるかを検査ごとに理解しておきましょう。 なかでも近年はCT画像が頻出です。とくに頭部CTは出題が多く、第105回では硬膜外血腫の出血部位、第107回では大脳の機能局在と硬膜下血腫の診断について問われました。また、エックス線検査に関しては第105回以降は出題がほとんどありませんが、最低限過去問で出題されたものは確認しておくとよいでしょう。
● イレウスの診断: 腹部エックス線 (99A84,103A40,104A38→下図参照) ● 心不全の評価:胸部エックス線(104A29) ● 硬膜外血腫の出血部位:頭部CT (105A68) ● 肥満患者の特徴:腹部CT(106A31) ● 硬膜下血腫の診断:頭部CT(107A53) ● 胆石の移動:腹部CT(107A70) など 【図:104A38(イレウス)】
● 頭部CT ● 腹部CT ● MRI ● 血管造影 ● エックス線 など
また、第107回では心電図に加えて胎児心拍数陣痛図も出題されました。波形を読ませる問題の出題が増加しつつあるため、脳波やスパイログラムなどについても基本的な読み方をおさえておくとよいでしょう。
107回で特筆すべきは必修での除外問題の多さ。その数実に8問、16%にのぼりました。これは、99回以降の必修問題としては最多です。「除外」の理由は2つあります。1つは「選択肢の不適切」により採点から除外された問題で、今回は2問。もう1つは「必修問題としての妥当性」から除外された問題で、今回は6問ありました。
これらは「正解なし」と発表されたため、全受験生の採点対象外となりました。この時点で今回の必修問題の満点は48点となります。
※パーセンテージは選択率で、弊社の国試採点サービス「合格予報」で収集した31,740人のデータを基にしています。
・選択肢1:駆血時間が長いと血液成分が変化して検査値に影響を及ぼすため、駆血帯を巻いている時間はできるだけ短くする。一般的には1分以内がよいとされているが、2分間駆血したことによって検査値に大きく影響を及ぼしたというエビデンスはない。 ・選択肢4:抜針後はもまずに圧迫止血を行うが、通常の患者でも止血時間は5分程度必要である。止血時間が足りないと、皮下血種などの合併症を引き起こすリスクが高くなる。
・選択肢2:水疱は、褥瘡で出現する症状である。褥瘡の重症度分類であるNPUAPステージ分類では、ステージⅡで発生しうる症状である。
※『クエスチョン・バンク看護師国家試験問題解説2019』から引用
こちらは問題として成立しているため正解が発表されていますが、不正解者の採点から除外されています。ただし、正解者は加点されます。これによって、受験生ごとに満点と合格点が異なります。 [除外対象問題6問中] 6問正解 ➡ 39点以上/48点 5問正解 ➡ 38点以上/47点 4問正解 ➡ 37点以上/46点 3問正解 ➡ 36点以上/45点 2問正解 ➡ 36点以上/44点 1問正解 ➡ 35点以上/43点 0問正解 ➡ 34点以上/42点
※合格点は、「満点に対して8割以上」という前提なので、それぞれの満点に0.8を掛け、小数点以下を切り上げた点数になっていると思われます。
6問中5問が正答率80%未満で、80%未満の問題は除外されやすいことが分かります。言い換えると、正答率80%以上の問題を確実に正解すれば合格ラインに達するといえます。 今回、正答率80%未満の問題のうち採点除外されていないものは、表の4問だけです。正答率80%未満の問題をすべて間違っても、合格点には達するのです※。
※ 採点除外問題は6問、それ以外で正答率80%未満の問題が4問で、計10問。これらすべてが不正解だと「48点-10点=38点」。前述の通り、削除問題すべて不正解の合格ラインは34点なので、合格点を4点上回ります。
したがって、必修問題対策の目標は、 「過去問や模試で、正答率80%以上の問題を確実に正解できる」 とすることをお薦めいたします。
『クエスチョン・バンク看護師国家試験問題解説』『クエスチョン・バンクSelect必修』には過去問題の正答率が、「メディックメディア模試」には成績表に正答率が表示されています。上記を学習する際にご活用ください!
第107回では、第106回に比べ全問題の文字数が1,517文字増加という結果になりました(表)。2,674文字の増加があった第105回から第106回ほどでないとはいえ、長文化の傾向が続いているといえます。
長文化に対しては、『クエスチョン・バンク看護師国家試験問題解説』巻頭の特集「長文問題対策のキホン」を活用して対策することをおすすめいたします。
第107回で出題されたテーマにおいて、全240問のうち、12.1%(29問)が新しいテーマの出題でした。全240問中47問が新規テーマからの出題だった第105、106回と比べて、新規テーマ出題率は低下しました。 過去問で出題されたことのあるテーマからの出題が多かったため、過去問演習の重要性が改めて認識できる結果になったといえるでしょう。
※ 弊社独自の分類基準「レビューブックコード」にて算出
第106回と比較して、4肢択1問題は9問、5肢択1問題は5問増え、5肢択2問題は14問減りました。従来正答率の低かった5肢択2問題が減少したこと、また出題された問題も比較的易しかったことが、今回の合格基準点アップの一因と考えられます。
※弊社国試採点サービス「合格予報」における受験者31,740名の回答結果により算出
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看護初年度コレダケ -生物,数学,物理,化学,ことば-
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