*国試によくでるレビューブックコードTOP10*シリーズ
今回ご紹介するのは、TOP9の統合失調症です。 近年、精神科における入院患者は、半数近くが統合失調症、および関連障害です。 5年以上の長期入院となるケースが多く、臨床現場では数十年単位で入院している高齢患者もみられます。
精神科の実習で見かけたり、実際に受け持ちを担当した学生の皆様も多いと思いますが、国家試験では統合失調症に関して幅広い知識が問われるため、実際の患者さんを思い浮かべながら問題を解いていきましょう。
□① 統合失調症とは,考え(思考)や気持ち(感情),行動をまとめ統合する能力が長期間にわたって低下し,特徴的な思考障害や行動障害が生じた病態をいう.
□② 病因は不明であるが,ドパミンの分泌異常が関与していると考えられている.
□③ 次のような特有な思考,知覚,感情,意欲,自我の障害を認める.
●思考障害:連合弛緩,滅裂思考,妄想気分,妄想知覚,妄想着想 ●知覚障害:幻聴,幻視,体感幻覚[体性感覚(皮膚感覚・内臓感覚等)の幻覚.例:「おなかに虫がいる感じがする」等] ●感情障害:感情鈍麻,アンビバレンス(両価性),疎通性障害,無為/自閉 ●意欲障害:能動性低下 ●自我障害:作為体験(させられ体験.自ら動くのではなく,誰かに操られていると感じる),思考吹入(他人から考えを吹き込まれていると感じる),思考奪取(自分の考えが他人に抜き取られていると感じる),思考伝播(自分の考えが周囲に知れ渡っていると感じる),思考察知(自分の考えが他人に知られていると感じる)
□④ 連合弛緩とは,ある考えとほかの考えとの関連がわからなくなり,筋道を立てて考えることができなくなる状態である.
□⑤ アンビバレンス(両価性)とは、同一の対象に対して相反する感情や意志を同時にもつことである.
□⑥ 慢性期には陽性症状よりも,社会的接触の回避,孤立・自閉的,感情鈍麻(会話をしても感情が通じ合わない)などの陰性症状が目立ってくる.
〔急性期の看護〕 □⑦ 患者の訴えをよく聴き,内容の異常があっても否定せず,その体験をしていることで患者が受けているつらさに共感し,それを受容することが大切である.
□⑧ 急性期は刺激の少ない環境下で休息できるように援助し,治療は薬物療法が主体となるため,原則として作業療法などに誘うことは控える.
□⑨ 服薬が確実にできるよう援助する.
□⑩ 拒薬があった場合には,患者の薬に対する思いを聴く.説明や時間をおいての促しにも応じないときは,医師にも相談する.
□⑪ 患者は自身の飲食,排泄,身体の状態などに注意を向けなくなることも多いため,水分出納バランスや全身状態の観察を十分に行う必要がある.
□⑫ 興奮状態にある患者の看護(参照 精-11)では,患者を刺激から遠ざけ,自傷・他害に注意する.複数のスタッフで対応する.
〔慢性期の看護〕 □⑬ 医師,他の医療従事者との治療計画をもとに作業療法,レクリエーション療法への参加を促し,患者が現実的な時間にふれ,活動性や生活技術を維持・習得できるよう援助する.
〔退院時の看護〕 □⑭ 退院の見通しや退院後どのように生活していくかは本人,家族,医師,看護師,精神保健福祉士などと話し合いながら決めていく.必要により精神科デイケアなどの情報も提供していく.
□⑮ 再燃予防のため,服薬を自己管理できるよう服薬コンプライアンス,アドヒアランス(参照 成-47)を高める支援を行う.
□⑯ 患者の日常生活を把握し,症状の観察や服薬支援につなげるために精神科訪問看護を導入することもある. レビューブックの付録『コレダケ』で得点力をアップしましょう!
●状況設定問題でよく問われており,疾患のなかでは高配点な問題となっている.服薬管理についてよく問われている(13問中7問).患者の拒薬への対応についても問われているのでおさえておこう.
他の国試分析については、『クエスチョン・バンク2018』を確認しましょう!
統合失調症の陰性症状はどれか。
1.作為体験 2.感情鈍麻 3.滅裂思考 4.被害妄想
詳しい解説や基本事項などの知識は『クエスチョン・バンク2018』でチェックしましょう!!
Aさん(35歳、男性)は、統合失調症で被害妄想が増悪し、入院している。入院後2か月、精神状態は安定してきたが、看護師に「どうして自分だけが薬のことばかり言われるのか。薬はもう飲まない。あなたが私を悪くしている」と被害的な発言をするようになった。
〔112〕看護師の最初の対応で最も適切なのはどれか。
1.「主治医に報告します」 2.「薬はきちんと飲んでください」 3.「薬を飲んだか確認させてください」 4.「薬を飲むと具合が悪くなるのですか」
〔113〕看護師は、Aさんが薬を口に入れた後すぐにトイレに行き、薬を吐き出すところを見た。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.水薬を食物に混ぜて投与する。 2.Aさんが薬を嚥下するまで見守る。 3.薬剤師の服薬指導を受けるよう勧める。 4.Aさんに服薬を自己管理するよう勧める。
〔114〕Aさんは拒薬がみられなくなり、精神状態も安定してきた。看護師に「あなたのせいで悪くなったと言ってしまってすみませんでした」と話した。看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。 1.「服薬するときは口の中を確認しますね」 2.「服薬自己管理教室へ参加してみませんか」 3.「退院したら家族に薬を管理してもらいましょう」 4.「お薬についての話し合いはこれで終わりにしましょう」 5.「そう思えるようになったのは、薬の効果だと思いますよ」
詳しい解説や基本事項などの知識は『クエスチョン・バンク2018』でチェックしましょう!
次回はTOP8の「コミュニケーション」をご紹介します。
乞うご期待ください!
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